文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

“株式会社サプライ” 営業 中嶋 徹 1983年生まれ。富山県出身。2005年アパレル技術科を卒業。デニムのOEMを主に請け負う(株)サプライにパタンナーとして入社。4年間パタンナーを経験後、営業担当へ。パタンナー時代に培った技術の知識を生かした営業を行なっている。

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ライター 小仁所 木綿

文化服装学院スタイリスト科を経て、ファッション流通専攻科ファッションディレクター専攻を卒業。ストリートカルチャー誌の編集部に在籍した後、独立しフリーの編集・ライターとしてファッション、ビューティ、音楽、ダンスなど幅広い媒体で活動中。

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“株式会社サプライ”営業 中嶋 徹

相手の意図を聞きプラスアルファの情報を提供

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、主にデニムのOEMとして営業を担当する、株式会社サプライの中嶋徹さんです。

メーカーがデザインしたものを形にする

デニムのOEMを請け負う会社で営業として働いている中嶋さん。そもそもOEMとは『相手先ブランド生産』ということである。具体的にはどんな仕事なのかと言うと「簡単に説明すると、自社ブランドを持っているのではなく、取引先のメーカーさんがデザインしたものを形にする仕事です」。取引先メーカーから依頼された漠然としたデザインイメージを形にするべく、メーカーと製造工場との間に入り、イメージに沿った製品を作り上げる。生地から縫製、糸の種類、釦などの付属品を決めて、ある程度の物が出来上がったら、二次加工と言われる段階に入る。加工工場に持っていき、デザイナーのイメージに合う加工を施し、第一段階で上がったものを提出。そこで納得するか修正するかによってサンプルを繰り返し展示会へ、という流れだ。

営業の仕事で生かされるパタンナーとしての実績

デニムの仕事をしているだけあって、中嶋さんはもともとデニムが好きだったのだそう。「一番最初にファッションに興味を持ち出したのが中学生くらいの頃で、それがデニムだったんですよ。そこから色んなジャンルのものに手を出しつつ、進路を決める時に、洋服の道に行きたいなと思ったんです。それで文化に入学して今に至っています」。文化のアパレル技術科を卒業後現在の会社に入社。しかし入社から4年間はパタンナーとして働いていたという。「パタンナーとして4年の実績を積んだことは、もちろん今の営業という仕事になってからかなり役に立っていると思います。物を見ながらはもちろんですし、大体のことは部分的に口で説明されても構造がわかるので理解できます。なので最初の技術職で培った時間は決して無駄ではなかったですね」。

相手のリアクションを直に感じ取ることが楽しい

パタンナーという技術職を経て、営業という仕事をすることに全く抵抗は無く、むしろ今の仕事を楽しんでいる様子の中嶋さん。「どうしたらより良いものができるかという事に頭を使っている時間が楽しいですし、社外の人と話す機会が格段に増えたのもよかったです。黙々とやる作業も好きですけど、例えばサンプルなんかは郵送で送ってしまえば特に問題はないんですけど、それを持って行くことで、相手がどういうリアクションをするのかを直接見ることができます。相手がうまく言葉で表現できないところも汲み取れるように、会いに行って打ち合わせをするという作業がすごく楽しいですね」。そして消費者であるお客さんからの反応がよかったという話を聞くのが、営業の醍醐味だという。


営業とは言ってもスーツではなく、襟付きであればOKのカジュアルな装いが爽やかな印象。

ネガティブな気持ちは表に出さないこと

営業という仕事柄、やはり数字に追われたり接待など大変な面も多そうだ。「やっぱり食事に行く機会が多いので、そうなると夜も遅くなりますし睡眠時間が短くはなりますね。でも基本的に人と話すのが好きですし、まったく苦ではないです」。数字や実績というプレッシャーにストレスを感じることもあるのでは?「もちろん営業なので数字を意識します。数字が調子いいとみんな気持ちもノリますし、生き生き仕事ができると思うんですよ。ただどうしても長くやっていると落ち込むときはあります。だからと言ってネガティブになっていると、物に反映されるんじゃないかというか、相手にとっても『この人に任せて大丈夫かな…』と、信用できなくなると思うんです。だから数字が悪かったとしても、そこは1人で悩んでおいて、暗い雰囲気は出さないようにしています」。

相手の意図をキャッチアップしながら情報を提供

デニムの仕事をして5年のキャリアを持つ中嶋さんだが、まだまだ知らないことがたくさんあると言う。特にデニムの歴史は深いものがあり、それを知識として身につける分には構わないが、それに固執するのはよくないというのが中嶋さんの考えだ。「うちの会社のお客さんはターゲットの年齢層が若いメーカーさんが多いので、例えば僕がもっと年を重ねたら僕よりも若い20代前半の方がデザイナーっていうケースもあり得ると思うんですよ。そういう方と話すときも、自分の概念を押し付けないように、できるだけ相手の意図を聞いて、且つより良くなるだろうというプラスアルファの情報を提供していってあげられれば良い物ができるんじゃないかと思っています」。営業は人としての信用と実績が大事であり、その為には人の気持ちをキャッチアップすることが何よりも大切なようだ。
※この取材内容は2009年12月時点のものです。


中嶋さんの仕事の必須アイテム。手帳、電卓、iPod、定規、メジャー。そして飲み会が多い営業ならではの必需品、肝臓の薬と眠気止め薬を持ち歩いているそう。


オフィスにあるプロッター。この機械からパターンが出てきてそれを切り取って使用する。


すっきりとしたクリーンなオフィス。デスクではメールチェックや見積書の作成などを行う。


サンプルチェックでは、仕様書を見ながら寸法、外観、不良チェック、加工の仕上がりなどを確認する。


社内ミーティングの様子。サンプルなどを見比べて新たなデザインについての意見を出し合う。

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