文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

“ato”渋谷パルコ店 店長 笹川 雄 1983年生れ。東京都出身。2005年アパレル総合科卒業。卒業後、フリーとして様々な活動を経てから、 “ato”へ入社。入社時より渋谷パルコ店へ配属となり、ショップスタッフとなる。昨年11月より同店の店長となり、接客を中心に日々の書類業務から、展示会でのオーダーまで多忙にこなしている。

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marmelo エディター 秋山 美紀子

文化服装学院卒業後、文化出版局へ入社。「装苑」の編集者を経て独立。独立後も「装苑」誌上にて「ニューカマー」のコーナーを連載するほか、さまざまなファッション媒体で活動中。また「ウェブセレクトショップマルメロ」のオーナーや、ファッション学校やセミナーの講師も行なっている。

マルメロの公式サイト

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“ato”渋谷パルコ店店長 笹川 雄

接客という仕事を楽しみならがブランドの成長へ役立ちたい

次世代のファション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、こだわりのメンズ、レディースアイテムを展開する“ato”(アトウ)の渋谷パルコ店で店長を務める、笹川雄さんです。

パルコ内にあるショップという強みを生かして

身体を個性の象徴と捉え、一つ一つのパターンにこだわりを持ち、服作りに取り組むブランド“ato”。笹川さんは数ある“ato”のショップの中で、渋谷パルコ店で店長を務めている。主な仕事内容を聞くと「まずは、当たり前ですがショップを開けること。パルコは館なので10時には必ずオープンします。遅れるということはできませんので、そういう責任感がまず大事です。そして、ショップをきれいに掃除することも基本。午前中はあっという間に過ぎていきますし、午後はお客様が多くいらっしゃるので接客を中心にしながらも、その他書類業務なども平行して行ないます」また、フロア同士のつながりもあるそう。「今日はこれが売れているという情報交換をしたり、他店とフォローしあうことも強みになっていると思います。最近は海外からのお客様も多いので、フィーリングと片言の英語でコミュニケーションをとりながら販売しています」

接客のおもしろさと難しさを学んで

入社して2年半が過ぎ、昨年の11月に店長となった笹川さん。やりがいのあることを聞いてみると「接客です。徐々に顧客様になってもらえるのはうれしいです。それに、普段の生活では出会えないような人たちと話せるのもおもしろい」という。場所柄、スタイリスト、タレント、企業の社長なども来るそうだ。「17年続いているブランドですので、10代~50代まで幅広くいらっしゃいます。渋谷パルコ店はまだ3年目ですが、ここで買いたいという方も増えてきています」逆に、難しいことを聞いてみると「それも接客です。楽しいけれど、話して終わってしまうこともあります。ショップでは売り上げがついてこなくてはいけないので、そこまで至らないときは、難しさを感じます」楽しくもあり、難しいとも答える“接客”を、店長として接客的に取り組んでいるようだ。

ショップ以外でも多くの経験を積むことに

ショップでの仕事だけでなく、“ato”のコレクションが開催されるときは、会場で受付に立つこともあるそう。「見に来る方々は、プレスやバイヤーのほか、顧客様もいらっしゃいます。その場合は、やはりお客様と直に触れ合っているショップスタッフが立ち会わないと、スムーズにご案内ができません」“ato”スタッフが集まり、ひとつのショーを作り上げていく過程に立ち会えたのは、とても印象に残っている仕事のひとつだったという。「以前から、人と話すことが好きで、そして服の勉強もしていて…。それらを生かせるようにと考えてこの会社に入りましたが、コレクションを始め、それ以上の経験を積むことができています」


ラックに並ぶ服は、いつでもお客様が見やすいようにチェック。気持ちのよいショップ作りを心掛けている。


お客様とのコミュニケーションを大事にする笹川さん。接客中は笑顔を絶やさず、話しやすい雰囲気に。

お客様の似合うものをオーダーできる喜び

渋谷パルコ店で取扱われる商品ラインナップ。これは“ato”の展示会の際、笹川さんが予算内に合わせてオーダーを付けているそう。「同じ“ato”でも、各店によってお客様が違うのでそこの特色に合わせたアイテム構成が必要です」以前は、展示会に同行していくスタッフだったが、今ではすべて任されている。「以前の店長は女性だったので、女性の意見がないときに不安を感じることもありますが、自分が“このお客様に似合うだろう”と思ってオーダーしたものが、売れていくときはとてもうれしい。現場に立っている人が、お客様に一番近いから」店長になってからはアイテム配分まで考えるようになり、さらにやりがいを感じているようだ。

ブランド全体を盛り上げていくために

笹川さんに学生時代にするべきことを尋ねてみると、「思い立ったら吉日!ではないけれど、その日に行動に移すのは大事です。自分もそういう風にするのが苦手だったので…。あのとき、ああすればよかったと思わないように。やらずに後悔するよりは、やって後悔するほうが先に進めます」確かに、人が好きで服が好きという思いから現在、店長になり仕事の幅が広がってきている笹川さんならではのコメントだ。今後の目標を伺うと「売り上げを伸ばしていくというのは大前提。“このぐらいは売って欲しい”というのは、どこの会社にもあること。それを毎月クリアにしていくことも大事です。それに“ato”の中でも一番売れるショップにしていきたいという思いを持つことで、スタッフ同士が気持ちを高めあって、ブランド全体を盛り上げていくことが夢です」
※この取材内容は2010年3月時点のものです。


商品を美しく見せるために、細やかにアイテムをたたむ作業も欠かせない。


今季のおすすめ「パッチワークデニム」を着こなしたスタイル。リアリティーのあるコーディネートは参考になる。


今季のテーマは「バイカー」。メンズ、レディース共にバイカーズのレザーアイテムをベースにデザインを展開しているほか、
“ato”ならではの人気アイテムも並ぶ。左から、ドレスジャケット¥65,100、
アートディレクター米津智之さんとのコラボプリントTシャツ¥18,900、パッチワークデニム¥39,900


左 レースブラウス¥29,400、ゴールド×シルバーのブレスレット¥11,550(左)、バングル¥4,200(右)。
右 定番スニーカーの新作にはバイカーのアイコンでもあるスタッズをあしらっている。スタッズスニーカー¥47,250(手前)、スニーカー¥30,450(後ろ)


シャープで異空間にいるかのような印象のショップに、洗練されたディスプレイが並ぶ。
「atoパルコ店」 東京都渋谷区宇田川町15-1 パルコパート1 5F TEL 03-3477-8810 10時~21時営業

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