ブックタイトルファッション業界お仕事ブック

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概要

ファッション業界お仕事ブック

服づくりの心構えと服で伝えるメッセージ。 常に最善を尽くし、届ける相手が喜ぶ服をつくる。そして、服への愛、熱意を持ってデザインに打ち込む。このふたつの姿勢はデザイナーにとって、非常に大切なものだ。 ファセッタズムの落合宏理さんは、デザイナーはアーティストとは違うという。「自己主張のためだけに服をつくっても評価されません。外にもちゃんと目を向けて、いろいろな視点からデザインを考えていく。それがファッションデザイナーの仕事だと思います」。 外に目を向けるため、落合さんはいつでもオンモード。「日々の生活がデザインソースになるので、常にアンテナを張っています。机の上だけでは新しいデザインは生まれない。さまざまな情報や技術など、本当に多くの要素を考慮して、徐々にデザインを固めていきます。ラックにかけられたサンプルを見て初めて、自分がつくりたかったものについて理解することもあります」。 コラボアイテムの製作や衣裳製作なども含め、デザイナーとして幅広く活躍している落合さん。その活動の中心となっているのが、年4回の展示会と年2回のパリコレクションだ。シーズンが終われば次のシーズンに向けて、すぐに動き始める。「生産管理、販売スタッフ、プレスなど、多くの人が携わってブランドを運営しています。多職種の人が団結することで、ファセッタズムはひとつのチームとして動くことができるんです」。今後はどんな状況にも対応できるチームをつくっていきたいと落合さんは言う。「海外に出れば、想像できないことが起こるかもしれません。時代の流れを読み解くことは面白くもあり、難しくもありますが、その時々に合わせてチームで動いていきたいです」。 チームがひとつになって製作した服に感動し、ブランドのファンとなる人がいる。「お客様の感性次第で服の見え方は大きく違います。人それぞれの価値観があるから、それは当然のことなのですが、ファセッタズムはお客様の心を動かし、新しい価値観に触れてもらえるようなデザインの服を意識してつくっています」。 服は着るためだけのものではない。デザインを通して、人に何かを伝えることができるのだ。幸せや喜びなどの感情、新しい時代に向けたメッセージなど、各ブランドが伝えたいこと、伝えるべきことをデザインに落とし込んでいる。それは、落合さんも同じ。「今の東京に足りないものを常に考えています。自分の周りに何が必要かを想像し、デザイナーとしてどういうアプローチをしていけばいいか。それを考えながら、デザインを考案しています」。 今最も注目されている日本の若手デザイナーの落合さんでさえ、まだ気づけていない世界があるのかもしれない。しかし、ファセッタズムは独自の視点を持って時代の波を乗り越えてきた。ひとつの波を乗り越えたら、もうひとつ先の波。そうやって、一歩一歩着実に進んできたからこそ、進化を続けられているのだ。Designer :FACETASMファセッタズム / 2007年にデビューし、今年で10年目を迎えた東京を代表するブランド。ブランド名のFACETASMは、ダイヤモンドなどの切り子面を意味するフランス語の「facet」を由来とし、「さまざまな顔」「さまざまな見え方」という意味が込められた造語。おちあいひろみち / アパレルデザイン科メンズデザインコース卒業。1977年、東京都生まれ。ファセッタズムをスタートさせる前は、テキスタイルメーカーに勤務。身の周りにファッションがあり、この業界を選んだ特別なきっかけはなかった、という。落合宏理2016 年にパリコレクションに進出し、活動のフィールドを世界へと広げたファセッタズムの落合宏理さん。東京出身の注目デザイナーは、何を考え、服をつくっているのか?世界で脚光を浴びるデザイナーの視点。FACETASMHiromichi OchiaiTitle :Interview :22SPECIAL INTERVIEWBrand :Bunka Fashion College