ブックタイトルファッション業界お仕事ブック

概要

ファッション業界お仕事ブック

若い人たちにも仕立て服を知ってもらう窓口のような店に。　テーラーとは紳士服の仕立てを行う専門職のこと。採寸に始まり、パターン、仮縫い、縫製、仕上げまですべてをひとりで行うことが多く、一般的な縫製技術はもちろん、テーラー独自の技術や、専門的な知識が必要とされる。　今ではテーラーとして自らの店を構える江利角さんだが、学生時代に服づくりはひと通り勉強したものの、テーラーの専門技術を学んだことはなかった。仲の良かった同級生と共に、テーラーの老舗、壹番館洋服店に就職したことがテーラーとの出合いだった。　伝統工芸とも言える技術が伝承される紳士服業界。今まで触れたことのない世界だったが、もともと細かな手作業が好きだった江利角さんは素直に入って行くことができた。素材以外すべて一からの勉強となったが、ひとつの作業工程ができるようになると、次の工程を教えてもらえるというステップアップの仕組みが自分に合っていて、モチベーション高く技術の習得を進めることができたのだという。「厳しい毎日であっても難しいことは考えず、辞めずにとにかく続ければなんとかなることを実感できたのが大きかった」と語る江利角さん。　3年間、壹番館洋服店に勤めた後、独立を決意し、一緒に入社した同級生と共にキリンテーラーを設立。10年間はブランドからの外注の仕事をメインに展開してきたが、自分のつくったものに対するダイレクトな反応を知りたいという思いから、2年前に自由が丘で店舗をオープン。スーツに興味がない、よくわからないという若者たちが多い昨今、キリンテーラーはカジュアルな内装にすることでお店の敷居を下げて、若い人にも仕立て服に興味を持ってもらえる窓口になりたいと考えている。　江利角さんは男女両方から好感を得られるスーツが大切だと考えている。「女性からスーツを褒められた話をお客様から聞くとうれしいですね」。相談をしながらつくるスーツは、ハンドメイドのフルオーダーはもちろん、既存の型紙を使用することで少し低価格になるパターンオーダーでも、生地はいろいろ選べ、プロの細かい採寸と調整が入る。「既製品よりも断然着心地良く仕上がるので、ぜひ体験して欲しいです」。1. 生地はバンチブックと呼ばれる見本帳から選ぶことができる。ヨーロッパのメーカーなどさまざま。 2. オーダーメイドで製作したお客様の型紙。 3. 採寸、パターン、仮縫い、縫製、ボタンホールなどの仕上げまで、すべて自身で行う。231裁ちばさみは学生時代からの愛用品。何度も研ぎ直して使っている。アイロンは製造中止になっている旧型のものが使いやすいため、壊れるとオークションで探して購入しているそう。学生時代から愛用のはさみスーツづくりは細かな手縫いの工程がたくさんPROFILE :KIRINTAILORSCOMPANY :江利角卓也　NAME :キリンテーラー / 自由が丘に店舗、目黒にアトリエを構え、スーツとカジュアルウエアのオーダーメイドなどを行う。トラディショナルメンズテーラーリングを軸に、シンプルで洗練された大人をイメージ。テーラーが常駐し細かな相談にも応じる。えりかくたくや / 服飾専攻科オートクチュール専攻卒業。1979年、福岡県生まれ。壹番館洋服店に3年間勤務した後、独立。自由が丘のKIRINTAILORS SHOPにて接客と製作を担当している。Create 07テーラーMY GOODS33 Bunka 1. Create Fashion College