ブックタイトルファッション業界お仕事ブック

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概要

ファッション業界お仕事ブック

1. 後輩に縫い方のアドバイスをする鈴木さん。穏やかな空気の中、時折笑みもこぼれる。 2. 工房は足立区西新井にある本店に併設されている。ここでは、ショップ内から職人たちの働く姿を見学できる。 3. ランドセルづくりは冬から春にかけて佳境を迎える。工房には製作中のランドセルがずらり。132毎日快適に使えるランドセルを。受け継いでいく技術と思い。 150個以上のパーツが300以上の工程を経て丁寧に仕立てられる土屋鞄のランドセル。その丈夫さと美しさが支持され、毎シーズン製造が追いつかないほどの人気だ。「一番意識しているのは、早くきれいに仕上げること。そして、いつも使ってくれる人のことを想像しながらつくっています」と話す、職人の鈴木健太さん。量産作業ではスピードとクオリティを保つことが最も重要だ。また、つくり手にとっては数ある中のひとつでも、買ってくれる人にとっては初めての、たったひとつのランドセルだということも忘れてはいけない。土屋鞄では、みんながこの同じ気持ちを共有しながら作業にあたっている。「最初は失敗ばかりでした。糸調子が悪いままパーツを200枚くらい縫ってしまったこともあります」。その経験が今では後輩の指導にも活かされている。「革と布の一番の違いは縫い直しができないこと。そのため、常に緊張感を保って作業することが大切です。自分の失敗談をふまえながら、実際にやって見せることで、わかりやすく伝わるよう心がけています」。 現在は多くの部下を持ち、やりがいも変化している。 「後輩の成長はうれしいです。彼らの技術が上達すると、『抜かれたな』と思うこともあります。すごく悔しいですが、喜びを感じる瞬間でもありますね」。指導にあたる鈴木さんと後輩との間には緊張感の中にもどこか穏やかな空気が流れている。「土屋鞄はベテランと若手の垣根がなく、提案や意見をすごく言いやすい環境なんです。お互い思いついたことはどんどん提案し合っていますね」。これは、みんなでアイデアを出し合ってより良いものづくりを目指そうという創業者の思いを、社員全員が受け継いでいるからだ。 指導者という立場にいても鈴木さんの腕を磨く日々は続いている。「ランドセルを使ってくれている子どもたちからお礼の手紙が届くんです。それがすごくうれしくて。6年間毎日快適に使い続けられるランドセルを子どもたちへ届けたい。これからももっと現場に入って、丈夫で美しいランドセルづくりへの知識を深めていきたいです」 。ペンチやキリなど、ランドセルづくりに欠かせない鈴木さんの道具一式。カッターの革カバーは手づくり。「愛着のある道具を使い、毎日愛情込めてランドセルをつくっています」。ランドセルづくりの必需品PROFILE :すずきけんた / アパレルデザイン科卒業。1989年、栃木県生まれ。卒業後、デザイナー職を経験。学生時代から道具に寄ったものづくりをしたいと考えていたため、土屋鞄に転職し、職人となる。Create 23鞄職人(土屋鞄製造所)鈴木健太NAME :自分の技術をわかりやすく伝えるMY TOOLS49 1. Create Bunka Fashion College