ブックタイトルファッション業界お仕事ブック

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概要

ファッション業界お仕事ブック

213何気ない日常の「普通」を徹底して追求する。 加藤哲也さんは映画やTVドラマを中心に、出演者すべての衣裳スタイリングを担当している。映画のスタイリングは観客がいかに自然に物語に入っていけるかが重要とされる。日常の何気ない様子のスタイリング……。それが昔の設定ならば、その時代の「普通」を徹底的にリサーチする。実際に当時を過ごした人に「懐かしい」と思ってもらえることが目標だ。 時代的な整合性はもちろん、役柄のキャラクターに合った衣裳選びも欠かせない。物語のリアリティや雰囲気を大きく左右する衣裳選びには、監督もこだわりを持っている。近年は撮影が長期にわたる作品が多く、2016年はドラマ1本、映画1本にじっくりと携わった。 映画好きだった加藤さんはスタイリスト科を卒業後、松竹衣裳に入社。まず初めに経験したのは歌舞伎の現場だった。特殊な着付けを勉強し、毎日歌舞伎座などで出演者の着付けを行う。「映画の仕事がしたいのに……」。そんな思いを抱きながらの日々。歌舞伎の厳しい現場ではリタイアしてしまう新人も多い。加藤さんは2年半歌舞伎の現場を経験し、ようやく映画の担当に。しかし過酷な現場に立ち会うことも多く、映画の厳しさを知った。そんななかで印象的だったのは山田洋次監督の現場。今の時代の撮影では考えられない、物語の順番通りに撮影を進めていく手法や、長年を共にしたスタッフ陣の丁寧な仕事に、映画本来のあり方を感じたという。 夢は映画人の憧れでもあるハリウッド作品に参加すること。「マーベル作品やファンタジーなど非日常の作品もやってみたいですね」。PROFILE :松竹衣裳COMPANY :加藤哲也NAME :かとうてつや / スタイリスト科卒業。1983年、広島県生まれ。社会人を経験後、文化服装学院に入学。卒業後、松竹衣裳に入社し、映画やTVドラマを中心に、登場人物の劇中衣裳のスタイリングを担当している。ショウチクイショウ / 主に歌舞伎・演劇・映画・テレビ・舞踊における衣裳の製作・賃貸・販売、小道具の製作・賃貸・販売、また各種イベントの企画を行う会社。スタイリストをはじめ、衣裳製作や着付けなどさまざまなプロが所属している。Communicate 10スタイリストEPISODE映画『エベレスト』ではネパールに2ヵ月、ヒマラヤに1ヵ月続けて滞在。特殊な加工で雪をつけたり、傷や汚れをつけたりするなど、バリエーションのある衣裳を持ち込んでの撮影となった。チベットでのハードな撮影1. 一から衣裳を製作することもある。 2. 衣裳の打ち合わせ。俳優に事前フィッティングしてもらった写真をもとに、監督とシーンごとの衣裳を決めていく。 3.困った時は先輩に相談して助けてもらうことも。先輩にも後輩にも卒業生が!たいらあいな / スタイリスト科卒業平 愛菜(右前)おかだあつし / スタイリスト科卒業岡田敦之(左前)悩んだ時にはみんなで相談し協力し合います71 Bunka 3.Communicate Fashion College