ブックタイトルファッション業界お仕事ブック2017

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概要

ファッション業界お仕事ブック2017

櫻井利彦NAME :衣裳製作落合宏理NAME :デザイナーNAME :スタイリストGLOBAL教えてもらったのは、最後まで気持ちを貫く大切さ。今回のプロジェクトには、スタイリスト兼コスチュームデザイナーとして衣裳製作に携わった飯嶋久美子さん。常に現状を把握しながら、短期間で50体もの衣裳すべてを仕上げなければならず、かなり大変な作業だった。けれど、練習するパフォーマーたちの真剣な姿を見て「格好良いものをつくらなければ!」とあらためて感じたそうだ。衣裳のスタイリングには、飯嶋さんの細かいこだわりがたくさん詰まっている。今回のパフォーマーは約50名。演出側と何度も話し合いを重ねながら、ダンスの振りによって衣裳がどのように見えるのかを検証した。式典全体の統一テーマカラーを意識しつつ、パフォーマー個々に何が似合うのか、丈はどのくらいの長さがいいのか、脚は綺麗に見えているかなどを考えながら、パフォーマーごとに衣裳のデザインを分け、カラーの見え方を変えていった。最後に全員が一列に並ぶシーンは、特に印象に残っている。衣裳製作に携わる過程で、飯嶋さんが実感したことがある。「今回のように、たくさんの方々の承認を得ながら進行していく作業では、デザインがぶれていかないことや最後までスタイリングや製作に責任を持つことが大切だと感じました」。チーム全体が同じ方向を見て進んだ衣裳製作。普段、自身では独特でポップな世界観をつくり上げている飯嶋さんにとって、いつもとは違った達成感があったようだ。デザイナーで良かったと心の底から感じたプロジェクト。「常にスイッチはオン状態。徹底して自分の好きな服づくりをしているからだと思います」と語る落合宏理さん。今回のプロジェクトではデザインを担当した。ファセッタズムの世界観を象徴する言葉として「東京らしさ」というキーワードがある。式典の衣裳を製作する上で、「東京」をデザインの要素として取り入れたがファセッタズムらしさは意識していないという。「たくさんの人たちが関わり、ひとつのゴールに向かってつくり上げていくプロジェクトなので、エゴのようなものは最初の段階でなくなりました」。衣裳製作のメンバーそれぞれが、いろいろな角度から何十通りものアイデアや方法を考え、提案し合う。落合さんも数え切れないほどのデザインを描いた。その際、常に意識していたのはパフォーマーの動きだ。新体操やダンスなど、さまざまな動き方をするパフォーマー一人ひとりの動きやすさを追求した。衣裳製作を終え、落合さんは「パフォーマーの方々を見て、あらためて人間の美しさや強さ、情熱に感動しました。今回のプロジェクトに関わることができたのは自分がファッションデザイナーだからこそ。ファッションデザイナーで良かったと心から思いました」と語ってくれた。常に前進し続ける落合さん。ビッグプロジェクトを終えた直後も、足を止めることなくさらに次へと進んでいる。落合さんのスイッチがオフになることは今後もなさそうだ。パフォーマーと最後まで並走して駆け抜けた衣裳製作。櫻井利彦さんは、どんなデザインでもどんな企画でも、人の身体とその身体の動きやダンスを基準に考える。式典でパフォーマーが着用する衣裳製作においても、体の動きやすさを求めストレッチを要所に効かせるため、すべて手作業でパターンを引いた。「″人の身体に布が乗る?ということをひたすら考えるのが、僕の仕事の基軸。どのような企画、どのようなデザインでも、ともかく身体に立ち返ります」と櫻井さんは話す。今回の衣裳製作で一番苦労したのは、早着替えを行う場面だ。さまざまなシーンが展開する中、たった10秒で、着ていた衣裳を次の衣裳に着替え、さらに着ていた衣裳を着替えた衣裳の下に隠す仕組みをつくらなければならず、時間的にも技術的にもハードルが高かった。また、身体に障害がある方の衣裳製作では、櫻井さん自身も知らないことが多かったため、技術的、感覚的な部分でのアドバイスを、衣裳を着る方々からたくさんいただいたという。「舞台に立つ方は、みんな緊張しています。その緊張が、衣裳を着ることで少しでも和らぐようにするにはどうしたらいいのだろうという、舞台衣裳の基本を再確認しながらの製作となりました」と語る櫻井さん。基本に立ち返り、関わる方々全員と丁寧にやりとりを重ね、最後までパフォーマーに寄り添いながら駆け抜けたプロジェクトとなった。いいじまくみこ/アパレル技術科卒業。1974年、東京都生まれ。スタイリストアシスタントおよび、雑誌『VOGUE NIPPON』でのアシスタントを経て、2000年にスタイリストとして独立。現在は広告、エディトリアル、CDジャケット、PV、コンサート、映画などさまざまなジャンルにおいて、スタイリストや衣裳デザイナーとして国内外で活動中。おちあいひろみち/アパレルデザイン科メンズデザインコース卒業。1977年、東京都生まれ。文化服装学院を卒業後、テキスタイルメーカーに就職。2007年、ファセッタズムをスタート。2011年に東京で初のランウェイショーを開催。2015年にはミラノメンズファッションウィークに参加、17SSシーズンより発表の場をパリに移す。さくらいとしひこ/アパレルデザイン科卒業。1969年、静岡県生まれ。2000年に、舞台衣裳製作工房、SQUNABICONAを立ち上げ、2017年にSQUNABICONAをSAQULAI,Inc(株式会社櫻衣)とする。Perfumeのコンサート衣裳や劇団四季の舞台衣裳など、さまざまな衣裳のデザインと製作を手がけている。飯嶋久美子07/08/0985 Bunka Fashion College6. Global