文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

“COCO DEAL” 生産管理リーダー 村瀬 史憲 1979年生れ。岐阜県出身。大学の機械工学科を中退し、スタイリスト科に入学。その後アパレル技術科に編入し、2001年卒業。アイア株式会社にパタンナーとして入社、その後生産管理の担当に。現在は、“COCO DEAL”の生産管理リーダーとMD(マーチャンダイザー)を兼任する。

writer

ライター 武田 京子

日本大学芸術学部放送学科在学中、文化服装学院II部服装科に入学、卒業。文化出版局『装苑』編集部に在籍後、いくつかの編集部を経て2005年よりフリーの編集・ライターとして活動。

writer

“COCO DEAL” 生産管理リーダー  村瀬 史憲

リーズナブルなのに高品質な理想の洋服作りを目指して

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、全国のファッションビルを中心に幅広く展開するブランド“COCO DEAL(ココディール)”の生産管理を務める村瀬史憲さんです。

ブランドが成功するか否かは生産管理の采配次第

スケジュールや予算の管理をはじめ、服に使用する素材や縫製工場の選定など、消費者の心を掴むアイテム作りのために、ブランドを影で支える生産管理という仕事。ファッションブランド“COCO DEAL”の生産管理リーダーを務める村瀬史憲さんは、限りある予算の中でいかにクオリティの高い商品を作るかというミッションと日々戦っている。「生産管理は利益に直結する部分ですし、どの縫製工場に依頼するかよって品質も大きく変わってきますから、アパレル企業の中では非常に重要なポジションと言えます」

コストは下げても、絶対的な品質は守りたい

2008年2月にデビューした“COCO DEAL”は、25歳前後の女性がターゲット。トレンドを取り入れたアイテムが、リーズナブルな価格で手に入るのが特徴だ。縫製を行う工場は日本、韓国、中国、インドにあるが、現在比重が大きいのが中国。村瀬さんは2~3カ月に1回のペースで中国に出張し、工場の新規開拓や既存の工場の品質管理を行ったり、生地市場で素材探しをしたりするという。「一番難しいのは、品質とコストのバランスを取ることです。工場と協力しながら、コストは下げても絶対的な品質を守れる生産体制を作っていくことが生産管理の肝だと思います」

パタンナーから生産管理へ 

実は、村瀬さんは元パタンナー。パタンナー時代はミリ単位の寸法にこだわっていたが、今は全体的な効率を考える立場ゆえ、逆にパタンナーのこだわりをコントロールするのが役割。いわばパタンナーと生産管理は相反する仕事だが、「ものを作ることはもちろん好きですが、生産管理は自分に合っていると思います」と村瀬さん。「もともと理系なので数字が好きで、パタンナーのときから自分の仕事でどれくらいの利益が上がるかに興味がありました。あと、こう見えて割と計画的で(笑)、学生時代も朝一番に学校に行ってミシンを取って、課題は学校で終わらせて夜は遊びに行くタイプでした」


生産管理のスタッフは、村瀬さんを入れて4名+アシスタントのアルバイトで構成されている。村瀬さんはニットとカットソーの担当をしながら、リーダーとして全体を統括している。

パタンナーの経験を生かし、一歩踏み込んだ生産管理を

また、「パタンナーとしての経験は、生産管理の仕事にすごく役立っています」と村瀬さん。たとえば中国の縫製工場でサンプル品のチェックをするときも、ただ口で指示するだけでなく、ミシンからボビンを出して下糸の調子を確認したり、使っている糸の質を見たりなど、パタンナーをやっていたからこそ深く見られる部分があるとか。「そうすると工場の人も信頼してくれますし、こちらがどれくらいの品質を求めているのかが具体的に伝わると思います。また、用尺*が頭に入っているので、生地幅に対してパーツがいくつ取れるかがだいたい分かり、見積もりを出すのもスムーズです」
*衣服などを作るのに必要なだけの布の長さ。

世界一安価で、高品質な商品作りを目指す

現在、村瀬さんは生産管理リーダーとMDを兼任しており、休日には街でトレンド分析をしたり、競合ブランドのショップを見たりして過ごすことが多いそう。「休みでも、ついつい仕事をしてしまいます。競合店でマネキンが何を着ているか、店頭のニットとカットソーの割合がどれくらいかなどを手帳にメモして、COCO DEALが勝てる部分はどこかを常に考えています」。将来的には、今より安価で質のよい商品が出来る生産体制を作り、他ブランドを圧倒する完成度のアイテムを提供したいと語る村瀬さん。「1枚3800円のTシャツでも、市場の同じ値段のアイテムの中で一番いいものを出せる生産体制を作ること…それが自分の使命だと思っています」
※この取材内容は2009年6月時点のものです。


生産管理の担当になって勉強を始めた中国語は、週1回個人レッスンを受けている。


生産管理のスタッフと、素材についてミーティングをおこなう村瀬さん。
「僕はリーダーではありますが、人によって布帛(織物)、小物と役割分担ができているので、ほかのスタッフに口を出すことはあまりありません」


社内プレスルームで、2009-2010秋冬のサンプル品を手にする村瀬さん。
取材時はちょうど商品の入れ替え時期、プレスルームには春夏物と秋冬物が混在していた。


COCO DEAL 2009-2010秋冬コレクションのテーマは『ROCK PRINCESS』。
色はイエロー、ピンクなど80’s colorに注目しているとか。

Links
NEXT

INDEX PAGE/今まで登場した卒業生たち

PAGE TOP