文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

スタイリスト 黒澤 充 1979年生まれ。茨城県出身。2000年スタイリスト科卒業。2002年、スタイリスト・望月 唯氏に師事。2006年に独立し、雑誌、広告、ミュージシャン、俳優などのスタイリングを手掛ける。2008年には「文化服装学院」の雑誌広告のスタイリングを担当。2009年から師匠である望月氏と同じ事務所「eight peace(エイトピース)」に所属し、幅広い分野で活躍している。

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ライター 秋山 由佳里

文化服装学院ファッション流通専門課程卒業。編集プロダクションを経て、文化出版局『ミセス』編集部に在籍後、独立。フリーの編集・ライターとして活動。

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スタイリスト 黒澤 充

エディター的要素を兼ね備えたスタイリストとして、ストーリーのある誌面を表現していきたい

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、雑誌、広告、ミュージシャン、俳優など幅広いジャンルのスタイリングを手掛ける人気スタイリスト、黒澤 充さんです。

文化服装学院進学のきっかけは、スケートボード

雑誌、広告をはじめ、ミュージシャンや俳優など、様々な分野のスタイリングを手掛けている黒澤 充さん。さぞや子どものころからファッションが大好きだったのだろうと思いきや「趣味は中学生のころからはじめたスケートボード。高校卒業後の進路を考えていたころ、大好きなスケートボードと繋がりのある分野に進みたいと思って。スケートボードもファッションもひっくるめた“カルチャー”を学んでみたいと思ったのがきっかけです。でも、ファッションの知識は、母とよく見ていたテレビのファッション情報番組からぐらいで。スタイリスト科を選んだのも、一番言葉の響きがよかったから(笑) 当時は、ブランド名もほとんど知りませんでしたね」

実践で身につけたスタイリストの仕事

文化時代はしょちゅう授業をさぼっていた(!)という黒澤さんですが、卒業してから、あらためて「スタイリストって何だろう」と考えるようになったとか。「卒業後、スタイリストの望月 唯さんのアシスタントに就いて、はじめて仕事の現場を見ました。当時、マガジンハウスから発行していたカルチャー誌が好きで、その雑誌のスタイリングを担当していたのが望月さんだったんです。アシスタントになってからは、撮影用の洋服や小物をプレスルームから借りるためのアポ入れや、靴の底張りなど、授業では経験していない仕事ばかりで……。一つ一つの仕事をこなすのに必死でした。スタイリストの仕事は、人との繋がりも大切な世界なので、コミュニケーションの必要性も感じましたね」

仕事を認めてもらえて、師匠と同じ事務所に

アシスタントから独立し、フリーの仕事をスタートさせたのは2006年のこと。「フリーで仕事をしながらも、アシスタント時代に出入りしていた事務所『eight peace』にまた入りたいと思っていました。スタイリストとして事務所の一員になることを一つの目標にしていましたね」。2009年には努力が実り、師匠である望月さんをはじめ、スタイリスト、カメラマン、ヘアメイクアップアーティストなどが籍をおく『eight peace』に所属。また、独立してからは、黒澤さんがアシスタントを育てる立場にも。「スタイリストのアシスタントはまじめな人が一番。ファッションの知識はあるに越したことはないけれど、まずコミュニケーションがとれることが大切。やる気さえあれば、センスは磨かれてくるものです」



黒澤さんの仕事道具。iPhoneは、リサーチ用のカメラとしても活躍。仕事が深夜までかかるときには、栄養ドリンクも必需品に。

気分転換は、多肉植物の育成!?

この「Next!」の取材で黒澤さんにお話をうかがったのは午後10時すぎ。そんな、寝る間もなくハードな毎日を送っている黒澤さんに休日の過ごし方を聞いたところ、意外な回答が。「今のマイブームは多肉植物なんです。スタイリングに使ったのがきっかけですが、一つの仕事が終わるごとに1鉢買っていたら、コレクションのように増えていって、今では約60鉢に。同じ多肉植物でもいろんな種類があるので興味が尽きません。千葉の生産者のところまでドライブを楽しみながら出かけて、育て方などの話をしながら過ごし、ご飯を食べて帰ってくる……これが楽しみであり、日々の気分転換になっています。植物でも、音楽でも、いろんなジャンルの話ができる人との出会いは、いい刺激になります」

ファッションエディターとしての力をつけたい

スタイリストの仕事は、コーディネートのセンスだけでなく、誌面構成やストーリー作りの独創性も問われるところ。左の写真は、黒澤さんのラフコンテで、バッグの中には、iPhoneやスケジュール帳などと一緒に、ラフコンテや企画書、リサーチした洋服の写真などを貼ったノートなどがきれいに整理されて入っている。「同じスタイリストの仕事でもジャンルや媒体によってそれぞれの楽しみがありますが、今、やっていて一番楽しいのが雑誌の仕事。編集者、カメラマン、ヘアメイクアップアーティスト、モデルなど、スタッフと息を合わせて一つのストーリーを作り上げる達成感が魅力ですね。最近では、レディースのスタイリングも多くなってきました。これからは、エディター的な能力をもっと身につけられるようにしたい。そのために常にラフコンテを描いています」
※この取材内容は2012年10月時点のものです。


多肉植物コレクションの一つ“マクロアカンサ”。水をあげすぎないようにすれば、育てやすいそう。


黒澤さんが描いたラフコンテと企画書。


(左)写真を貼ったり、イラストやメモが書き込まれた黒澤さんのリサーチ用ノート。
(右)同じ文化服装学院の卒業生で友人でもある「JAMA RICO」のデザイナー、加納 学さんのプレスルームにて。


レディースのスタイリングを手がけるきっかけになった、ファッション誌『GINZA』2012年10月号(マガジンハウス)。


(左)ランニング・ライフスタイル誌『CORNER』Vol.2(エスプレ)より。
(右)ファッション誌『GRIND』Vol.12(ミディアム)より。

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