文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

アイア株式会社 ルージュ ディアマン デザイナー 後藤 里奈 1987年生まれ。福岡県出身。高校の服飾デザイン科を卒業後、文化服装学院に入学。2009年服飾専攻科デザイン専攻卒業。同年春よりアイア株式会社に入社。ブランドROUGE DIAMANT(ルージュ ディアマン)のデザイナーとして活動している。

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ライター 武田 京子

日本大学芸術学部放送学科在学中、文化服装学院II部服装科に入学、卒業。文化出版局『装苑』編集部に在籍後、いくつかの編集部を経て2005年よりフリーの編集・ライターとして活動。

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アイア株式会社 ルージュ ディアマン  デザイナー 後藤 里奈

経験することすべてが自分の成長につながっていく

次世代のファション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、アイア株式会社のブランド、ルージュ ディアマンのデザイナーとして働く後藤里奈さんです。

デザイナーとして勉強の日々

アパレルメーカーのデザイナーとなり、今年で2年目を迎える後藤里奈さん。担当するブランドROUGE DIAMANT(ルージュ ディアマン)のデザインは現在、後藤さんと先輩デザイナーの2名で行っており、年4回のサイクルで出される新作の制作に追われている。デザイナーといっても絵型を描くだけでなく、サンプル作成のための仕様書を書いたり、リボンやスパンコールなどの付属品の手配、繁忙期には店頭に立ったりするなど担当業務は幅広いようだ。「学生時代に専門的に勉強していないニットデザインなど、入社してから覚えたことも一杯あります。入社当初は戸惑うこともありましたが、今はいろいろなことを吸収していきたいという気持ちです」

職場でもおしゃれでいたい女性がターゲット

ルージュ ディアマンのターゲットは主に働く若い女性で、シンプルだが、ディテールでかわいらしさを表現したアイテムを提案している。「ジャケットの袖をまくるとかわいい裏地がちらっと見えるような、会社でさり気なくおしゃれ感をアピールできるデザインを心掛けています」。また、世の中の動向や消費者のニーズを把握してデザインに生かすために、さまざまなジャンルのショップをリサーチしたり、雑誌をチェックしたりしているのだとか。「お店に行くときは商品を見るだけでなく、実際に試着してサイズ感なども確かめるようにしています」。ちなみに今後はブランドのターゲット層を広げるために、オフィスウェアに加え、これまでよりも休日用のカジュアル・リラックスウェアを増やしていく予定だそうだ。

中国の工場とのやり取りに奮闘中

最近は中国の縫製工場との取引が多く、日本語ができる中国人スタッフと電話でやり取りする機会も増えてきたと後藤さん。「電話なので意思疎通に苦労することもあり、思い通りのサンプルが上がってくるまでは不安で一杯です」。そして、上がってきたファーストサンプルは後藤さん自ら身につけて上司のチェックを受け、さまざまな調整が行われた後にセカンドサンプルの制作、その後ようやく展示会にこぎつけることになる。「展示会での反応がいいと、デザイナーをやっていてよかったと思います。でも逆に、反応が悪いとボツになるものもあります。絵型ができてからひとつの商品が店頭に並ぶまでには、本当に長い道のりがあるのだと日々実感しています」


普段はデスクワークが中心。後藤さんの机の上には、サンプル制作のための仕様書や、洋服につけるリボンなどの付属品が並ぶ。

幼いころから夢はデザイナー

ファッション好きのお母さんの影響で、物心ついたころからテレビのコレクション番組を見ていたという後藤さん。デザイナーを目指して高校の服飾デザイン科に進学し、その後の進路を決めるときも半ば当たり前のように文化を選択。文化に入学後は授業だけでなくショーなどのイベントにも積極的に参加し、多くの人たちとものづくりをする醍醐味を味わった。「みんなでショーを作り上げることが楽しくて、忙しさも苦になりませんでした。ショーのときのメンバーとは今でもつながりがあり、休日に会ってお互いの仕事のことを話したりします。仕事で大変なことがあっても、仲間と美味しいものを食べれば元気になれます(笑)」

ブランドとともに成長していきたい

後藤さんに今後の目標を聞いてみた。「ルージュ ディアマンは出来てまだ若いブランドなので、これからはもっとブランドの知名度を上げて、店舗数も増やしていきたいです」。ブランドのアイテム数が多く、絵型のバリエーションを考えるときは頭が混乱することもあるというが、洋服やかわいいものに触れていられれば幸せで、仕事とプライベートの線引きもあまりないという。「休日に市場調査を兼ねてショッピングに行くときも、仕事しているという感覚はありません。とにかく、私はデザイナーとして歩き出したばかりです。これからもさまざまなことを勉強して、ひとりのデザイナーとしてももっと成長していけたらと思います」
※この取材内容は2010年6月時点のものです。


中国の縫製工場の資料。それぞれの得意分野が分かるように、工場別に整理されている。


(写真左)裏地の見本。機能性だけでなく、見た目のかわいさを考えるのもデザイナーの仕事。
(写真右)今年の秋冬コレクションで採用されたデザイン画と、使われる素材が貼られたボード。


(写真左)デザインのイメージを分かりやすく伝えるために、自ら飾りの見本を作ることも。
(写真右)出来上がったサンプルの寸法が合っているかをチェック。「ドキドキする瞬間です」と後藤さん。


華やかな雰囲気のルージュ ディアマンのショップ。いつも若い女性でにぎわっている。

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