文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

オーガニックデザイン(株)企画・生産 鈴木 雄太 1981年生まれ。福島県出身。2003年服飾専攻科技術専攻卒業後、アパレルODM会社にパタンナーとして就職し、7年間勤務する。昨年10月にオーガニックデザイン(株)へ転職し、企画・生産としてオリジナル商品のパターン制作や生産管理などを務めている。

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ライター 小仁所 木綿

文化服装学院スタイリスト科を経て、ファッション流通専攻科ファッションディレクター専攻を卒業。ストリートカルチャー誌の編集部に在籍した後、独立しフリーの編集・ライターとしてファッション、ビューティ、音楽、ダンスなど幅広い媒体で活動中。

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オーガニックデザイン(株)企画・生産 鈴木 雄太

自分の好きな服に携われることが嬉しい

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、駒沢大学にショップ「ワープ&ウーフ」を構えるオーガニックデザイン(株)で、企画・生産を担当している鈴木雄太さんです。

ショップの移転のタイミングで転職

駒沢大学と三軒茶屋のちょうど間くらいの場所にある、ショップ「ワープ&ウーフ」。ここではオリジナルブランド「Pioneer Tailoring」として、1930~1940年代のバイカーやワークウェアをデザインに落とし込んだウェアを販売している。そのほかにもオリジナルのシルバーアクセサリーや、帽子、ウォレットなどの小物類も展開。ここで企画・生産として働く鈴木さんは、昨年10月に転職してきたばかりで、在籍して現在5か月ほどだ。もともとこのショップは代官山にあり、鈴木さんはお客さんとしてよく行っていたんだそう。そしてインテリアを本格的に展開するにあたって現在の場所に移転することになり、そのタイミングで転職してきたという。

自分の好きなものを手掛けることにやりがいを感じて

前職ではパタンナーとして7年ほど勤務していた鈴木さん。そこで働きながらも転職は考えていたという。「ただ、長く勤めていたこともあって慣れもあったし楽だったので、なかなか転職するタイミングがなかったんです。でもこのままずっとそこにいてもダメだなと思ったんですよね」。鈴木さん自身が30歳を迎える年齢的な節目というのも、転職を決意するきっかけのひとつになったようだ。以前もパタンナーとしてパターンを引くこと自体は楽しかったようだが、それほどやりがいを感じてはいなかったそう。しかし現在は、「自分の好きなものだし、パタンナーとしての先輩(オーナー)もいるし、転職してよかったと思ってます」。

新たに"アイビー"ラインを展開

日々の仕事では、オリジナル商品のパターンをひきながら生産管理も行っている。そして同じ立地でショップも兼用しているので接客対応も務める。ブランドとしてこれまではワーク系のラインを展開してきたが、新たにアイビー系のラインを立ち上げることに。「僕はワーク系も好きなんですけど、身長が低いので太いパンツなんかは似合わないんですよね。それでオーナーと二人で提案し合って、アイビーのラインを展開していくことにしたんです」。1960年代を代表し世界的ブームともなったアイビーファッションを、現代に落とし込み改めて提示することは、ごく自然な流れでもあったようだ。「意識してアイビーが好きだったというわけではないんですが、普段から好きでよく着ていたB.Dシャツなどが、もとを辿ればアイビーから来ているものだったんですよね」。


パンツのグレーディング(サイズ展開)のパターンを作成中。

自身が携わった商品が上がってくる喜び

現在は新ラインの商品化に向け、BD.シャツやアイビーパンツ、ポロシャツなどを制作中。パターン制作以外の業務では、商品に対しての付属や素材を決めていく生産管理がある。商品の絵型を描いたり、生産のための工場とのやりとりなども担っている。新しく立ち上げるラインに向けて、色々と提案していかなければならないことが大変なようだが、「前よりも自分で着たいと思える服のパターンを引けてるというのもあるし、自分が携わった商品が上がってくるのも嬉しいですね」。ちなみに扱っている服はメンズが中心となっているが、レディース用の小さめのサイズ展開もしていて、シルエットも女性向けになっているそう。

新たな夢を見据えて経験を積んでいきたい

文化服装学院在学時は、とにかく服を作ってばかりいたという。デザイナーになりたいというよりも、服を作ることが好きだったようだ。「文化では縫製の仕方とかが身に付きました。でも社会人になってみると、市場のほとんどがカジュアルの服じゃないですか。なのでパターン的なところで言うと、実際に仕事をしながら新たに習得していったこともありますね」。いまの目標としては、既存の30~40年代のワーク系ラインもやりつつ、新企画のアイビーをまずは成功させたいという。「いずれは独立してブランドを立ち上げたいとも思っています。でもまだまだ未熟なので、まずはここで経験を積んでいきたいですね」。
※この取材内容は2011年3月時点のものです。


仕事で欠かせないメイン道具。学生時代から使用している目打ちも。


パソコンでは絵型を見ながら仕様書を作成。


(左)参考にしている様々な文献は、ほとんどがオーナーのもの。
(右)丁寧に描かれた絵型や、布地サンプルが閉じられたファイル。


(左)隣のスペースにはミッドセンチュリーを中心としたインテリアが広がる。
(右)オリジナルの服や帽子、アクセサリーなどが並ぶショップ内。


新たなアイビーラインで打ち出していく商品。左からBD.のポロシャツ、BD.シャツ、コットンのスラックス(アイビーパンツ)。価格未定

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