文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

株式会社アミナコレクション デザイナー 西村 真理子 1981年生まれ。神奈川県出身。2003年服飾専攻科技術専攻卒業後、販売を1年半ほど経験。その後ロンドンへ留学し、2年半後に帰国。その語学力を活かし、エスニックショップ「チャイハネ」などを展開する(株)アミナコレクションに入社。デザイナーとして様々なオリジナル商品の企画を担っている。

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ライター 小仁所 木綿

文化服装学院スタイリスト科を経て、ファッション流通専攻科ファッションディレクター専攻を卒業。ストリートカルチャー誌の編集部に在籍した後、独立しフリーの編集・ライターとしてファッション、ビューティ、音楽、ダンスなど幅広い媒体で活動中。

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株式会社アミナコレクション デザイナー 西村 真理子

ほかにはない、不思議なものに出会える場所

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、横浜中華街を拠点としたエスニックショップ「チャイハネ」のオリジナル商品のデザインを手掛けている西村真理子さんです。

留学で身に着けた語学力と経験

個性的で不思議なものが所狭しと並び、異国の雰囲気が漂うエスニックショップ「チャイハネ」で、オリジナル商品のデザインを手掛けている西村さん。毎回新作を作る際には海外へ出向き、生地作りから携わっている。海外への出張ということで語学力が必須となるわけだが、西村さんはロンドンへの留学経験があり、今では仕事上での英会話を難なくこなしている。以前から英語を話せるようになりたかったということで、文化を卒業後に販売を1年半ほど経験し、その後ロンドンへ留学。語学学校に通い、滞在2年目くらいからはロンドンのショップで働くように。さらにそこで自身の作った服を売らせてもらったり、ファッションショーのサンプル縫製をさせてもらった経験も。「日本よりも実力を見て働かせてくれる国で、そういうのが住みやすかったですね」

語学力を活かせる仕事に魅力を感じて

ロンドンでフリーで活動していくこともおもしろいと感じたが、企業で働いてみようと思い帰国。そして現在勤めているアミナコレクションに入社。この会社を選んだ決め手は、「選考基準が日常会話の英語が話せることだったので、語学力を活かせると思ったんです」。海外の取引先と繋がっているということも、働きたいと思った理由だという。今ではシーズンごとにインドやタイ、インドネシアなどの現地へ足を運び、デザインについてのやりとりをしている。西村さんは横浜出身なので、小さい頃からチャイハネにはよく来ていたそう。「それにもともとアフリカンなテイストが好きだったのもあったし、刺繍も好きなので、この会社でやってみようと思いました」

ファブリックから徹底的にデザインに携わる

仕事内容としては、前シーズンの反省から始まり、今季の案をデザイナーたちで出し合う。柄から作ることもあるそうで、各国の民族衣装の柄をアレンジしたりすることも。そしてファブリックの指示書を作成し、服のパターンも作っている。生地とスタイルの指示書の作成が終わったら、海外へ出張。インドなど現地の工場へ行って視察。送った指示書をもとに仕上がり具合を見て、修正の指示をかけて帰国。その後送られてきたサンプルを検品、試着して補正をかけ、仕上がったものが展示会へ。その後最終指示書を作成し、出来上がってきた商品を検品。その商品の売り上げの統計を取り、来シーズンの商品に繋がっていくというのが一連の流れだ。「エスニックなので夏をメインに展開していて、年に3回展示会があるんです。なので普通のアパレル企業よりは仕込む量は多いかもしれませんね」


社内の本棚には世界各国の参考文献がぎっしり。


デザインのインスピレーションを得ている世界の民族衣装の資料。

ほかにはないオリジナルデザインにこだわって

エスニックショップで展開されているものの多くは、海外で買い付けてきたものをそのまま売っていることが多いようだが、チャイハネはあくまでもオリジナルだ。しかもほとんどがハンドワークによるもので、機械生産ではない魅力が詰まっている。「中国の工場で大量生産で作っているわけではなく、本当に手作りなので、天候によって風合いや仕上がりが変わったりするのも魅力なんです。それを出張先で実際に見られるのもいいですね」。時には現地で一緒に体験させてもらえることもあるのだとか。流行りを追いかけることもなく、こだわりのデザインアイテムをリーズナブルな価格で提供しているチャイハネ。「不思議なものに出会える場所。ほかにはない物が見つかるはずです」

ハンドワークの魅力と難しさを実感

海外の職人たちによるハンドワークが何よりも魅力ではあるが、逆にその良さが買い手に伝わらないこともあるという。手刺繍や染め物などが色落ちなどの問題で返品されてしまうことがあるのだそう。それが手作りならではの特性であっても、購入される側には理解されないこともあるのが難しい問題だ。「それがハンドワークの良いところでもあり、悪いところでもあるのかなって思いますね」。そして現地の人との英語でのコミュニケーションも時には通じにくくもどかしさを感じることもあるという。いまの会社に勤めて3年が経った西村さんだが、今後の展望を聞くと、「やっぱり今後も海外に関われる仕事をしたいですね。今の経験を活かしつつ、また新たなことに挑戦してみたいと思っています」
※この取材内容は2011年4月時点のものです。


今年の夏に出張でバリに行った際に撮った現地での様子。


(写真左)刺繍をもとに生地を考案し、フォトショップを使って指示書を作成。
(写真右)上がってきたサンプルを指示書を見ながらチェック。


(写真左)広々としたオフィスには海外のお土産が飾られ賑やかな雰囲気。
(写真右)横浜中華街に構えるショップのひとつ。カラフルなディスプレイや独特の雰囲気は圧巻!


西村さんがデザインを手掛けた2011年春夏アイテム。

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