文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

(株)ロイネ 企画・デザイナー 渡部 さゆり 1985年神奈川県生まれ。2006年アパレルデザイン科卒業。同年インナーウェアの総合アパレルメーカー・(株)ロイネに入社し、ライセンスブランドの企画に携わる。2012年春夏よりオリジナルルームウェアブランド「ワンサード」を立ち上げ、ライセンスブランドと兼任しながら企画・デザイナーを務めている。

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ライター 小仁所 木綿

文化服装学院スタイリスト科を経て、ファッション流通専攻科ファッションディレクター専攻を卒業。ストリートカルチャー誌の編集部に在籍した後、独立しフリーの編集・ライターとしてファッション、ビューティ、音楽、ダンスなど幅広い媒体で活動中。

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(株)ロイネ 企画・デザイナー 渡部 さゆり

1日の3分の1を過ごす時間のために気持ちのよい服を

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、(株)ロイネでライセンスブランドの企画に携わりながら、新たに立ち上げたオリジナルブランド「ワンサード」のデザイナーを務める渡部さゆりさんです。

一番アツいものは“男のパンツ”!

国内大手のインナーウェア総合メーカーであるロイネでライセンスブランドの企画・デザインに携わる渡部さんは、2年間の構想を経てオリジナルのルームウェアブランド「ワンサード」を今年4月に立ち上げたばかり。取り扱うブランドは男性がメインターゲットとなるが、そもそも女性である渡部さんがメンズのインナーウェアのデザイナーになったきっかけは何だったのだろうか? 「卒業する前に進路を考えた時に、『いま一番アツいものをやろう!』と思って、それが私にとってはメンズのアンダーウェアだったんですよ。感覚的にはTシャツが好きとか、靴が好きとか、そういうのと同じで私は“男のパンツ!”だったんです」。そしてロイネという会社に出会い、卒業後入社し現在に至る。

オリジナルブランドの構想がスタート

渡部さんが文化服装学院を卒業する頃、今から5~6年前はメンズのアンダーウェアが目立ち始めた時期だったという。そういうものを目にする機会もあり、どんどん興味を持つようになる。在学中にはメンズアンダーウェアのコンテストに入賞した経験もあるのだとか。入社してからはライセンスの企画に携わり、デザインをしたり企画全般の仕事を務めてきた。そして2年ほど前に社内でオリジナルのプライベートブランド立ち上げの案が生まれた。「外部のバイヤーさんからも言われるようになったり、自分でもやりたいと思って、そうしたすべての流れがあってオリジナルブランドの構想が始まりました」しかし初めから順調に進んでいったわけではないようだ。

快適さとデザイン性を兼ね備えたルームウェア

「どうせ新しいことをやるなら誰もやっていないものをやりたくて…、いろいろと揉めました。いろんな時間の流れもあって、仕切り直して進めていきました」。そして2年の構想を経て今年ついにデビューを果たしたのが新ルームウェアブランド「ワンサード」だ。コンセプトは「1日の3分の1のために」。1日の3分の1以上の時間を家で過ごすからこそ、その時間は居心地よく、気持ちのよいものであってほしいという思いが込められている。インナーウェアメーカーとしての強みを生かし、そのまま眠れるくらいの快適な仕様や生地の風合いにこだわり、そのまま外出もできる高いデザイントレンドを取り入れたユニークなアイテムが展開されている。



渡部さんのバッグの中身。財布、パスケース、名刺入れ、ポーチ、電子辞書、i Pod、神田明神で買ったお守り。

仕事とプライベートのメリハリを心掛けて

「ワンサード」だけでなく他のライセンスブランドの企画も兼任しているので、多忙なスケジュールに追われる日々。本人としても仕事をする上でスケジュール管理は特に心掛けているという。しかし1~2年前からは仕事をする時間の管理を気にするようになり、「アパレルだと昼も夜も年中働くような人が多いけど、それだといい考えが浮かばないし、仕事と同じくらい遊んでないと友達も増えないし。仕事のスケジュール管理も大事だけど、プライベートの時間は無理やりにでも休むように意識してます」。プライベートは外出することがほとんどで、友人と飲みに行ったり、イベントで会うことも多いようだ。「友達と会ったり交流することで刺激やパワーをもらってます」

いつかドレスコードが“パジャマ”のパーティーを

仕事をしていてやりがいを感じる瞬間は様々あるようだが、「お店に自分の商品を見に行った時に、それを持ってレジに並んでいるお客さんを見た時が一番嬉しいですね。自分も一生懸命働いているし、そのお客さんも働いて稼いだお金でその商品を選んで買ってくれるのを見て感動します」。今後の夢と展望を訊ねてみると、「ルームウェアを文化にして広げていきたいです。今まではないがしろにされていた1日の3分の1の時間に着る服にもこだわって、いろいろなパジャマやルームウェアを着たっていいじゃない! って思うんです。そういう感覚が広がって、いつかパジャマパーティーをやりたいです! ドレスコードは“パジャマ”で」
※この取材内容は2012年5月時点のものです。


仕事の要ともいえる、びっしりと予定の詰まったスケジュール表。


素材の開発から携わるので、ノートには繊維やパターン、縫製のことなどが書き込まれている。


(左)2012年秋冬の展示会にて。ディスプレイのコーディネートも渡部さんが担当。
(右)展示会では来客に対して自ら商品説明をする。


(左)通気性がよく、軽くて涼しい楊柳を使用したオールインワン。¥7,140
(中央)ストレッチ性に優れ、身体の動きを妨げない快適な仕様のデニムニットサルエルクロップドパンツ¥6,615
(右)ボーダーに編んだ生地の裏に雲のプリントを施したTシャツは、スラブ生地のタンクトップ付き。¥6,825


(左)2012-13年秋冬のイメージソースとなった1991年のファッションカルチャーをイメージして作成されたマップ。
(中央)ネルシャツのようなチェックのセットアップは天竺にプリントして起毛をかけたもの。ウール風ヘリンボーン地のカーディガンを羽織って。
(右)1枚で着られるフェイクレイヤードのワッフル生地のカットソーに、綿×アクリルが軽くて暖かく、洗濯も簡単なヘリンボーンのボトムスを合わせて。

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