イラストで一本立ちすることの難しさ
雑誌や広告の挿絵など、各ジャンルで引っ張りだこのイラストレーター・高篠裕子さん。温かみのあるユーモラスなイラストは、目にしたことがある人も多いのではないだろうか。高篠さんはイラストレーターになって今年で4年目。現在はマネジメント事務所“アスタリスク”と専属契約を結び活動の場を広げているが、「イラストレーターになったからといってすぐに仕事が来るわけでもなく、最初の1~2年は美術館でアルバイトをしながら活動していました。そんなときフリーのイラストレーターであり、学生時代にデザイン画を教わった吉岡香織先生がアスタリスクを紹介してくださり、イラストレーターとして一本立ちする可能性が開けていきました」
運命を切り拓いた線画のイラスト
仕事の幅が広がったのは、線画という“自分らしい”タッチを確立させたのが大きなきっかけだとか。「今メインに描いている線画は、アスタリスクのスタッフが面白いと興味を持ってくれて、クライアントに売り込んだことから仕事につながりました。経験が浅いころはとにかく一杯絵を描いて、スタッフにアドバイスをもらっていました。スタッフに『めげないよね』と感心されるくらいの枚数を見せたのですが、そこで感じたのは自分で思う私らしさと、周りが思う私らしさは違うということです。線画のイラストも自分としては遊びで描いたものなので、もし客観的に見て魅力を認めてくれる人がいなければ世に出ることはなかったと思います」
イラストの活用の場は無限大
物心ついた頃から絵が好きで、絵に関係した仕事に就きたいと思っていた高篠さん。「でも、絵と同じくらいファッションのことも好きだったので、やってみて自分にはどちらが向いているのか見極めようと思いました」と、アパレルデザイン科に進学。最終的にイラストの道を選んだ高篠さんは、ファッションとは遠く離れたところで仕事をするかに思われたが、オリジナルイラストがTシャツデザインに採用されるなど、実はファッション業界に深く関わる仕事にも携わっている。「イラストとは一見関係のない世界でも、思わぬところでイラストが使われていたりするので、自分の知らないところにまだまだいろんなチャンスが転がっているのかなと思います」