チームで作り上げる、ブランドの世界観
伝統的な“英国趣味”をフォーカスし、ブリティッシュで普遍的な物作りと、現代的なポップ感を融合したスタイリングを提案する人気メンズブランド“TAKEO KIKUCHI”。長谷川さんは、そこで商品開発を担当している。「店舗が入っている百貨店などに対して、商品を作ることが仕事になります。企画はコレクションライン、開発企画ライン、MD企画ラインなどのいくつかのチームで編成されています」長谷川さんはその中でも、MD企画を中心に布帛のアイテムやカットソーなどを担当している。「店舗は全国で130数店舗の展開があります。その場所によって売れるものはまったく違うので、それらに対応するような商品も手掛けます。それは30代半ばのアッパーゾーンから、若年層に向けたアイテムまで多岐にわたります」
メンズデザインの奥深さを、楽しみながら模索中
入社して5年目を迎えるというが、メンズデザインをしていく上ではまだまだ、学んでいくことが多いという。「二度見するような驚きで、物を作りたいと思っています。それは作るということだけでなく、会議の場でも、相手を『んっ?』と乗り出させるような気持ちにさせたいと常に心掛けています」例えば、ジャケットのラペルの裏の切り替えに生地の裏面を使い、動いたときに光沢差を見せるなど、ちょっとしたテクニックや変化を施すことも。「それだけでも服に鮮度があると感じます。おもて面だけがすべてではないと」また特に難しいというジャケットは、同じパターンをしていても生地はもとより芯地や肩パッドなどの付属でガラっとシルエットが変ってしまうそう。「そういうところが服作りの難しくも、楽しいところなのだと思います」
企業に入ったことで経験できる、多くの人との出会い
布帛・カットソーを手掛ることが多い長谷川さんにそのおもしろさを尋ねてみた。「店舗数の多さもあって、生地を作る際に糸から素材開発できたりという、大変貴重な経験をさせてもらっています。この糸を使って、こんな織り方、編み方をしたいといった提案をすると、取引先さんからは『では、こういう風にやっていきましょうか』など新たな方法を知ることもあります」会社にいるだけでは話せない、職人と呼ばれる人たちとの関わりで、物作りの楽しさをさらに広げているようだ。「物を作っている者同士なのでマニアックな部分まで垣間見ることができて、とてもおもしろいです」