文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

“TAKEO KIKUCHI” 商品開発 長谷川 陽介 1983年生れ。埼玉県出身。2005年アパレルデザイン科メンズコース卒業。株式会社ワールドへ入社。メンズ事業部“TAKEO KIKUCHI”の商品開発を担当する。百貨店などの店舗に対応する商品を主に担当する企画・開発として活躍中。カジュアルなアイテムを中心に、布帛・カットソーなどを手掛ける。

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marmelo エディター 秋山 美紀子

文化服装学院卒業後、文化出版局へ入社。「装苑」の編集者を経て独立。独立後も「装苑」誌上にて「ニューカマー」のコーナーを連載するほか、さまざまなファッション媒体で活動中。また「ウェブセレクトショップマルメロ」のオーナーや、ファッション学校やセミナーの講師も行なっている。

マルメロの公式サイト

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 “TAKEO KIKUCHI”商品開発 長谷川 陽介

メンズデザインの奥深さを楽しみながら追求していきたい

次世代のファション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「Next!」。今回ご登場いただくのは、株式会社ワールド・メンズ事業部“TAKEO KIKUCHI”(タケオキクチ)で商品開発を担当する、長谷川陽介さんです。

チームで作り上げる、ブランドの世界観

伝統的な“英国趣味”をフォーカスし、ブリティッシュで普遍的な物作りと、現代的なポップ感を融合したスタイリングを提案する人気メンズブランド“TAKEO KIKUCHI”。長谷川さんは、そこで商品開発を担当している。「店舗が入っている百貨店などに対して、商品を作ることが仕事になります。企画はコレクションライン、開発企画ライン、MD企画ラインなどのいくつかのチームで編成されています」長谷川さんはその中でも、MD企画を中心に布帛のアイテムやカットソーなどを担当している。「店舗は全国で130数店舗の展開があります。その場所によって売れるものはまったく違うので、それらに対応するような商品も手掛けます。それは30代半ばのアッパーゾーンから、若年層に向けたアイテムまで多岐にわたります」

メンズデザインの奥深さを、楽しみながら模索中

入社して5年目を迎えるというが、メンズデザインをしていく上ではまだまだ、学んでいくことが多いという。「二度見するような驚きで、物を作りたいと思っています。それは作るということだけでなく、会議の場でも、相手を『んっ?』と乗り出させるような気持ちにさせたいと常に心掛けています」例えば、ジャケットのラペルの裏の切り替えに生地の裏面を使い、動いたときに光沢差を見せるなど、ちょっとしたテクニックや変化を施すことも。「それだけでも服に鮮度があると感じます。おもて面だけがすべてではないと」また特に難しいというジャケットは、同じパターンをしていても生地はもとより芯地や肩パッドなどの付属でガラっとシルエットが変ってしまうそう。「そういうところが服作りの難しくも、楽しいところなのだと思います」

企業に入ったことで経験できる、多くの人との出会い

布帛・カットソーを手掛ることが多い長谷川さんにそのおもしろさを尋ねてみた。「店舗数の多さもあって、生地を作る際に糸から素材開発できたりという、大変貴重な経験をさせてもらっています。この糸を使って、こんな織り方、編み方をしたいといった提案をすると、取引先さんからは『では、こういう風にやっていきましょうか』など新たな方法を知ることもあります」会社にいるだけでは話せない、職人と呼ばれる人たちとの関わりで、物作りの楽しさをさらに広げているようだ。「物を作っている者同士なのでマニアックな部分まで垣間見ることができて、とてもおもしろいです」


トップ画像は2010年春夏コレクションが一同に揃う展示会。仕立てのよいジャケットも多数揃う。


デスクには様々なテキスタイルのサンプルが。ここからまた新たなデザインが誕生していく。

相手に伝わるもの作りを目指して

今後は、自分だけが納得するのではなく、相手にも納得し想像してもらえるような仕事のスタイルを目指していきたいという。「例えば言葉で、こういうものを作りましたと、会議の場で言ってもショップで販売する人はそこにはいません。その人たちが服を見ただけで『この服はここを伝えたいな』と自ら想像してもらえるような服を作っていければと思います」街で自分が作った服を着ている人を見たとき、「こんな着こなしを提案してくれたんだ」と嬉しくなることがあるそう。「ショップの方は販売のプロなので、自分が思っている以上のことを伝えてもらっていると感じます。それならそれ以上に応えられるよう、街で出会ったことを喜ぶだけでなく客観的に見直し次ぎの商品に活かせるよう心掛けています。今、こういうスタイリングなら次には、こういったパンツを作れば合わせやすいだろうって」

ライフスタイルを考えたデザインの提案を

面接のときはメンズがやりたいと伝えたそうだが、会社に入った今は、レディスや子供服にもおもしろさを感じているという。「“TAKEO KIKUCHI”に来るお客さまは、彼女と一緒の方もいれば、ファミリーでいらっしゃる方もいます。そういう人たちがどういったライフスタイルを送ってこのお店に来てくれているかを最近よく考えています」また、デザイナーとなって活躍している今、学生時代の授業の重要性を感じることもあるという。「素材論は役に立ちます。メンズだけでなくレディスも含めですが、素材によって落ち感、張り感、硬さなどいろいろ違ったりします。それらをどう使って、どう加工すれば効果的とか、そういうことのベースを学べることの出来た社会に出て即役に立つ授業だったと思う機会よくあります。なので、ぜひ積極的に学んでください」
※この取材内容は2010年1月時点のものです。


商品企画の仕事は、パソコンでの作業も多い。広いオフィスには、ほかのブランドの部署もある。


プレスルームにて、新作のアイテムを説明する長谷川さん。シャツの肩部分にも、さりげないデザインをプラスしている。


オフィスのとなりのビルにあるプレスルーム。取材日にもスタイリストなどが訪れていた。
ここから雑誌などで掲載される商品が貸し出されていく。


2010年春夏コレクションアイテムより。左 シルクオージョツイルのジャケット¥48,000、
中央 シルクとレーヨン切り替えのカットソー¥8,500、右 シルクサッカーチェックのショートパンツ¥22,000


ブランドの世界観を伝える旗艦店。「TAKEO KIKUCHI FELLAS」(タケオ キクチ フェラーズ)
東京都千代田区丸の内2-1-1 丸の内マイプラザ 1階
TEL 03-5220-6655 11時~21時営業(日曜 ~20時) 不定休

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