文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

ファッションデザイナー 木村 晶彦 1979年生まれ。京都府出身。立命館大学産業社会学部卒業後、文化服装学院に入学。2004年、第78回装苑賞・イトキン賞を受賞。2005年アパレルデザイン科を卒業。コレクションブランドのデザイン・企画を経て、2009年「アルピニスム」設立。2010春夏コレクションより、自身のブランド「LOKITHO」(ロキト)をスタート。

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ライター 武田 京子

日本大学芸術学部放送学科在学中、文化服装学院II部服装科に入学、卒業。文化出版局『装苑』編集部に在籍後、いくつかの編集部を経て2005年よりフリーの編集・ライターとして活動。

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ファッションデザイナー 木村 晶彦

スタートラインに立った今すべての挑戦はこれから始まる

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、ファッションブランド「ロキト」のデザイナー、木村晶彦さんです。

成熟した大人のための服作りを行う

2010春夏コレクションでデビューしたブランド「LOKITHO」(ロキト)。そのデザイナーであり、運営を行っているのが木村晶彦さんだ。ブランド名の「ロキト」とは、北欧神話の火の神「ロキ」をアレンジしたものだが、特に深い意味はなく、言葉の響きが気に入りなんとなくつけたそう。「あえて何語でもなく、意味もないというものにしたかったんです」。また、ブランドコンセプトは「For witty women」。「機知のある、大人の女性をイメージして服作りをしています。大人といっても年齢ではなく、皮肉も面白く言えるような、内面的に成熟した女性…という感じでしょうか」

デザイナーとして、経営者として

木村さんはデザイナーであると同時に経営者でもあるため、もの作りだけに集中できないことも多い。特に営業は初めての経験であり「性格的に向いているとは言えませんね」と笑う木村さんだが、「営業代行をお願いすることもできますが、まずはひと通り自分でやってみることが大切かなと思っています」と語る。そんな自分について、「何事もじっくり考えるタイプ」と分析する木村さん。ブランド運営の面でもクリエーションの面でもいろいろ思い悩むというが、「あまり考えすぎても前に進めないので、よく考える部分と、あえて考えないようにしている部分とがあります。でもついつい、いろいろ考えてしまうんですよね」

大勢の人にコレクションを見てもらいたい

取材に伺ったときは、2010-2011秋冬コレクションの制作中だった木村さん。「次回のコレクションでは、ちょっとひとくせある、深みのある素材にこだわっています。見た目や色が面白かったり、タッチに特徴があったりする素材から発想を得ています」。なお、デビューコレクションでは自身のアトリエで展示会を開いたが、より多くの人に自分のクリエーションを見てもらうために、次回は合同展示会への出展を予定しているとか。「今はいろいろ試行錯誤している段階ですが、あまりのんびりもしていられないので、限られた機会や予算をどう生かしていくか、経営者としてよく考えねばならないと思います」


アトリエの奥にある木村さんの大きなデスク。コレクションの制作時だったため、関連書類もちらほら。

服作りにのめり込んだ学生時代

木村さんは大学時代にファッションの道を志し、卒業後に文化に入学した。「専門学校に入り直すのには決心が要りましたが、ファッションはまったく未知の分野だったので、一から勉強しないとだめだろうなという思いがありました。自己流で突き進む人もいると思いますが、自分は確実に夢を実現できる方法をじっくり考えました」。実際に入学してみると、生地選びやデザイン、パターン、縫製などすべてが初めての経験だったが、やればやるほど面白く、木村さんは服作りにどんどんのめりこんでいった。「装苑賞への応募もそうでしたが、かなり真剣に服作りに打ち込んでいたと思います」

着実にブランドの体勢を整えていきたい

ブランドを立ち上げて周りから「おめでとう」と祝福されることが多いという木村さん。しかし、「立ち上げ自体はそれほどおめでたいことではなく、やっとスタートラインに立ったという感じでしょうか。商品がたくさん売れたり、商品を買ってくれるお店が決まったりしたとき、はじめて本当に『おめでとう』なんだと思います」と、冷静に自分の状況を見つめる。「今は展示会でもなんでも、ブランドや自分のもの作りを知ってもらえる場を作っていきたいと思います。そして、将来的にはスタッフを増やし、社内でひと通りの制作ができる体勢が整えられたらいいですね」
※この取材内容は2010年2月時点のものです。


木村さんのデスクまわりには、生地見本やイメージ写真などが所狭しに貼られていた。


デザイン性の高い、シューズやアクセサリーなどのファッショングッズもそろう。


アトリエの一角にある作業スペース。工場や外注スタッフと連携を取りながら、木村さん自ら作業をすることも多い。


2010年春夏コレクションのアイテム。余分なデザインをそぎ落とした、ミニマムなスタイルを提案。

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