ボランティアでデザインの仕事をスタート
デザイナーとして5年目を迎えた安生さんが手掛けるブランド、センブル。ディレクターとの2人によってセンブルの服たちは生み出されている。文化を卒業した後、数か月間ヨーロッパへ放浪の旅に出た安生さん。そして帰国後にビームスのスーツを中心としたセクションにて販売の経験を積みながら、当時は別の人がデザイナーを務めていたセンブルのデザインを無償で手伝うようになったという。「もともとセンブルが好きで、デザイナーになりたいということをアピールしていました。ボランティア期間は1年くらいありましたね。お金よりも自分のデザインが採用されること自体が嬉しかったんです」。やがて2006年から正式にデザイナーとしての任務を引き継ぐ形となる。
街ゆく人の着こなしにデザインのヒントが
デザイナーに就任してから4年が過ぎ、それなりに大変なこともあるようだが、楽しさや充実感の方が多く感じられるという。1シーズンの大まかな流れとしては、展示会の3ヶ月ほど前にデザイン画をアップし、そこからパタンナーと打ち合わせ、パターンが上がってきたらそのサンプル作成を工場に依頼。そこで上がったものから最終スタイリングを組み、ルックブックを作成し、それをツールとし各取引先及び新規店舗へ営業、展示会を開くという流れだ。デザインのインスピレーションを受けるものはアイテムによって違うようだが、街を歩きながら目に入るものが多いのだとか。「例えば前を歩いている人のちょっとした着こなしで、崩れている感じがすごくよく見えて、あのアイディアをデザインに落とし込んだらいいんじゃないかっていうのがありますね」
スタンダードの中にもこだわりのデザインを
「大人も楽しめるカジュアルモード」をコンセプトに、スタンダードなアイテムの中にもこだわったデザインを落とし込んだ服を提案している。シンプルで定番に見えるものでも毎シーズン新パターンを作っていたり、時代によってディテールやサイズ感を変えたりしているそう。「首ぐりの広さひとつでも印象が全然違うから、その辺にはすごく気を使ってますね」。アイテム自体も日常に溢れているようなシャツやブルゾンをベースに、そこにいかにおもしろいデザインやコンセプトを汲みこんでいけるか、というスタンスで作られている。デザイナーとしてのこだわりを聞いてみると、「シンプルに見えても驚きがあるような、ちょっとしたいたずら心のような、仕掛けみたいなものがある服づくりですね」