文化出身、次世代クリエイターたちのつながり Next!

(株)イスト グレーダー 花里 裕 1981年生まれ。東京都出身。2005年服飾専攻科技術専攻卒業。卒業後はオンワード樫山に入社。4年間勤務した後、(株)イストへ転職。数多くの職種のユニフォームウェアのグレーダーを務めている。

writer

ライター 小仁所 木綿

文化服装学院スタイリスト科を経て、ファッション流通専攻科ファッションディレクター専攻を卒業。ストリートカルチャー誌の編集部に在籍した後、独立しフリーの編集・ライターとしてファッション、ビューティ、音楽、ダンスなど幅広い媒体で活動中。

writer

(株)イスト グレーダー 花里 裕

グレーダーの経験を生かして範囲を広げていきたい

次世代のファッション業界を支える、文化の若手卒業生を紹介する企画「NEXT!」。今回ご登場いただくのは、(株)イストでユニフォームウェアのグレーダーを務める花里 裕さんです。

大学に通いながらファッションへの道を選択

オフィスから飲食店、パーラー、アミューズメントパークまで様々な職業のユニフォームウェアを展開しているイスト。そこでグレーダーとして勤務している花里さんは、大学に通いながら二部服装科に通っていた。そこで3年間学んだ後に技術専攻科へ編入したという経緯だ。「地元が上野ということもあって服に興味はあったんですけど、高校が付属だったのでそのまま大学へ進学したんです。大学では考古学を専攻していたけれど仕事にはできないと思い、大学2年の時に文化の二部に入学しました」。そして技術専攻科を卒業後はオンワード樫山に入社。そこからグレーダーとしての職務をスタートし、オンワードで4年勤めた後に現在のイストへ転職した。

幅広いサイズ展開をするユニフォームウェア

パタンナーの作ったパターンをサイズ展開していくのがグレーダーの仕事だが、もともとはパタンナー志望だったという花里さん。「でも今ではグレーダーの方が向いていると感じます。自分には合っていると思いますね。CADを使って仕事をするのが好きなので」。オンワードでは一般衣料として多くのブランドのグレーディングを手掛けていたが、ユニフォームウェアとなるとサイズ展開の幅に違いがあるようだ。サイズ展開が多くはない一般衣料に比べ、ユニフォームは5号から23号まで10サイズの展開をするという。「仕事量はそんなに変わっていないと感じますが、やる範囲は広くなったと思いますね。10サイズあってもそれに合わない人のための特寸という対応もするので」

サイズが大きくなるほどバランスが大事に

一般衣料と同様に1年に春夏・秋冬の2シーズンに分けて新作が発表されるユニフォームウェア。しかし一般衣料に比べてデザインものが少なく、実用性や着心地が重視されるため素材も多くは選べない。そんな中でもトレンド要素が取り入れられることもあり、シルエットやスカート丈などは年々変化しているようだ。グレーディングにおいてはバランスが重要になるという。「10サイズも展開するとなると、大きければ大きいほど形が崩れやすくなります。ただ単に同率で拡大するのではなく、9号のバランスを大きいサイズの人にどれだけ同じバランスで着てもらえるか。いかに崩さないで着てもらえるか。そういったことを視野に入れてピッチを考えています」


9号(左)と15号(右)の新作ユニフォーム。

今後の3D CADの開発に期待

仕事上では学生時代に学んだ基礎知識が役に立っているという。グレーディングの詳しい知識や技術については、就職してから身に付けていったようだ。現在社内でグレーダーを務めているのは花里さん1人しかいないという。1人ですべてのグレーディングを手掛けるのは大変なようだが、様々な企業のパタンナーが集まるセミナーなど、外部の勉強会に出向く機会があるとのこと。「最近3D CADが開発されてきていて、それを追っているんです。ソフトの発表会を聞きに行ったりしています。まだ実践的ではないけれど今後広がっていくと思います。3D CADができたらユニフォーム業界にとっては嬉しい進化ですね。いろんな体型の人が着られるようになるのでかなり役に立つと思います」

パターンの知識があるグレーダーでありたい

学生時代は学友会に所属し、3年次には委員長も務めていた花里さん。「違うクラスの人たちと繋がりを持てたのがよかったですね。特に夜間(二部服装科)には違う学年の人たちもいるし、いろいろな人たちと関われて楽しかったです」。卒業後も学生時代の友人たちと交流があるそうで、そういった繋がりも魅力のようだ。「ずっとグレーダーを続けるのは厳しいと思うので、もっと範囲を広げていきたいですね。もともとは文化のCADの先生になりたかったんですが、一度企業での仕事を経験してからなろうと思っていたので。パターンありきのグレーダーなので、パターンの知識があるグレーダーでありたいですね。だからもっとパターンのことを知っていきたいと思っています」
※この取材内容は2011年10月時点のものです。


左上LAND 2011年春夏カタログ、右上SWING 2008年カタログ、左下a.v.v 2011年7月発行の新作カタログ、右下GROW 2010年カタログ


新たに誕生した「a.v.v」のユニフォームラインのカタログは、表紙もおしゃれでキュート。


広々としたオフィス内。デスクでPCを使った作業がメインに。


(左)時にはパタンナーの仕事を手伝うことも。
(右)PC上でパターン1つひとつにグレーディングを施していく。


(左)CADからパターンが出力される。
(右)CADから出てきてパーツごとにカットされたパターン。

Links
NEXT

INDEX PAGE/今まで登場した卒業生たち

PAGE TOP