ブランドが成功するか否かは生産管理の采配次第
スケジュールや予算の管理をはじめ、服に使用する素材や縫製工場の選定など、消費者の心を掴むアイテム作りのために、ブランドを影で支える生産管理という仕事。ファッションブランド“COCO DEAL”の生産管理リーダーを務める村瀬史憲さんは、限りある予算の中でいかにクオリティの高い商品を作るかというミッションと日々戦っている。「生産管理は利益に直結する部分ですし、どの縫製工場に依頼するかよって品質も大きく変わってきますから、アパレル企業の中では非常に重要なポジションと言えます」
コストは下げても、絶対的な品質は守りたい
2008年2月にデビューした“COCO DEAL”は、25歳前後の女性がターゲット。トレンドを取り入れたアイテムが、リーズナブルな価格で手に入るのが特徴だ。縫製を行う工場は日本、韓国、中国、インドにあるが、現在比重が大きいのが中国。村瀬さんは2~3カ月に1回のペースで中国に出張し、工場の新規開拓や既存の工場の品質管理を行ったり、生地市場で素材探しをしたりするという。「一番難しいのは、品質とコストのバランスを取ることです。工場と協力しながら、コストは下げても絶対的な品質を守れる生産体制を作っていくことが生産管理の肝だと思います」
パタンナーから生産管理へ
実は、村瀬さんは元パタンナー。パタンナー時代はミリ単位の寸法にこだわっていたが、今は全体的な効率を考える立場ゆえ、逆にパタンナーのこだわりをコントロールするのが役割。いわばパタンナーと生産管理は相反する仕事だが、「ものを作ることはもちろん好きですが、生産管理は自分に合っていると思います」と村瀬さん。「もともと理系なので数字が好きで、パタンナーのときから自分の仕事でどれくらいの利益が上がるかに興味がありました。あと、こう見えて割と計画的で(笑)、学生時代も朝一番に学校に行ってミシンを取って、課題は学校で終わらせて夜は遊びに行くタイプでした」