自分の中に吸収することが楽しくて
ファッションシューティングやコレクションでは、テーマに合わせて独創的なヘッドピースを自ら制作するほか、最近では、初めてアーティストのツアーのヘア&メイクを担当することになり、全国を飛び回っている橘さん。「今まで経験したことのないものを学べる気がしました。自分の中に得るものがあるのなら、きっとこの仕事も楽しいと思って」。昔から学ぶことが好きで、学校も大好きだったという。今でもその性格は変わっておらず、日々何事も吸収することが楽しくて仕方ないそうだ。
進行方向を変更して、気付いたヘア&メイクの楽しさ
高校時代から美容師にはなりたかったが、服作りにも興味があった。そんな時に文化のパンフレットでスタイリスト科を見て、服作りも、メイクも、写真を撮る授業まであるこの科に応募を決める。3年目のファッション流通専攻科では、外部の講師によるコレクションメイクや特殊メイクの授業など、基本以外の広範囲のことを教えてもらう機会がぐっと増え、その奥深さと楽しさから本気でヘア&メイクの道を目指すようになる。卒業後は資生堂美容技術専門学校に通い、美容師免許を取得。しかし、ヘア&メイクになりたいけどサロン経験もなく、どうしたらなれるか試行錯誤する日々が続く。ある時ダメもとでヘア&メイクアップアーティスト・冨沢ノボルさんの事務所に電話をし、ブック(※)を送り、そして何とか見学のチャンスを与えてもらえた。そしてその後アシスタントに付けることに。「私のような経歴は稀だと思います。本当に周りの人たちに引っ張ってもらった感じです」と自身の経歴を振り返る。
※自分の作品などをポートフォリオにして見せるもの
ヘアの作り込みは、まるで服作りのよう
ヘアスタイルを独自で作り込む仕事が多い橘さん。「ヘアスタイルの作り込みの企画では、服を作るときの素材みたいな感覚で作っています。髪の毛一本一本のニュアンスや質感などのディティールを重視する方もいると思うのですが、私の場合は服を見て、さらに全体のバランスを確認しながら作り込みます」。しかし、そうは言いながらも橘さん自身は、ヘアとメイクだとメイクの方が好きだというのがまた興味深い。