多彩なブランドのPRを並行して行う
ファッションの中心地、原宿や青山の街を見下ろすマンションの一室にRevolution PRのプレスルームはある。田中さんが務める「アタッシュ・ド・プレス」とは海外で生まれた業務形態で、企業やブランドなどから依頼を受け主にメディアに向けてPR活動をする立場。日本ではアパレル企業に所属し、自社ブランドをPRする「ハウスプレス」が主流だったが、ここ十数年で有力なアタッシュ・ド・プレスの会社が生まれてきている。Revolution PRではメンズ、レディースあわせて常時10以上のブランドを取り扱っており、200年以上続く老舗から新人ものまでと幅広い。「ひとりが複数のブランドを並行して担当するため、情報・スケジュール管理能力とフットワークの軽さが求められます」
クリエイターとメディアをつなぐ
プレスの仕事は主に商品の貸し出し・返却の管理、編集者やスタイリストなどメディア関係者へのPR活動、広報戦略の立案、ブランドが展示会やコレクションをするときの窓口業務など多岐に渡る。ブランドを世に広めイメージアップを図るために奔走するアタッシュ・ド・プレスだが、あくまでもブランド外のスタッフ。ブランドへの愛情と客観性をいかにバランスよく持つかがポイントとなってくる。「僕たちはブランドの商品を扱いますが、ブランド所属の人間にはなれません。自分が担当するブランドには思い入れを持つことが大切ですが、同時に冷静な目も求められます。プレスによって考え方はそれぞれだと思いますが、どういったスタンスを取るかはむずかしいところです」
PRもクリエーションの一部
もともとデザイナーを目指していた田中さんは、知人の紹介でプレスの仕事に就くことになった。「正直、プレスという仕事がどういうものがよく分からない状態で今の事務所に拾ってもらいました」と田中さん。しかしやってみると、「PRもデザインのひとつではないか」という気持ちが生まれてきたという。「例えば『自分のブランドをやりたい』という人は大勢いますが、日本のファッション業界はクリエーション重視で、営業やPRは二の次ということも多いです。ですが素晴らしい洋服を作っても、多くの人の目に触れなければブランドを運営していくことはむずかしいです。僕も以前はそういった意識が抜けていましたが、今はアパレル業界に営業やPRの存在は外せないと思っています」