Q1.この科の特徴は?

ここでは、服づくりの基礎を徹底的に学びます。私は高校1年生のときに自分のブランドを立ち上げて運営していたのですが、当時はビジネスを優先し、生産は工場に依頼。デザインはしていたけれど、どこか服づくりから逃げている自分がいました。高校3年生で一度ブランドは休止しましたが、将来的に総合的なプロデュース能力や人を動かす力を身につけた上で、もう一度起業したいと思うようになりました。しかし、1着の洋服をつくるのにかかる時間やコスト、必要な労力を知らないままで、私は一体何が創造できるのだろうと考え、本格的に服づくりを学ぶために文化のこの科を選びました。授業は徐々にハードになりますが、上を目指す強い気持ちがあれば大丈夫。課題をこなすうちに実力が身についていきます。ファッションのプロフェッショナルとしても活躍してきた先生たちは、実践的なコツやヒントを教えてくれます。実を言うと、最初のうちは、丈の長さなど課題の規定が多くて戸惑っていました。でも、課題を重ねる中で、制限の中でいかに自分らしさを表現するかに挑戦することに大きな意味があるのだと気づきました。私は今、服がどのようにして出来上がるのかを、自分の体で経験しながら少しずつ学んでいます。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

きっかけは、私が中学3年生の頃に見たSNS。当時文化服装学院に通っていたカワイコウタさんが、ファッションの中で奇想天外に生きる姿に大きな衝撃を受け、その時から私も文化に入るんだと心に決めていました。文化は日本で一番歴史のある、規模の大きな服飾学校。設備も整っていて、ファッションの専門知識や技術を学ぶには最高の環境です。学生を育てる教職員の中には、先生になる前に、一流のファッションをその目で見て経験してきた方もたくさん。本物の重みや大切さを知っているからこそ、そうした先生方が教えてくれることは本当に説得力があります。そして文化には、さまざまな夢や希望を持った学生が集まっています。それぞれが心に秘めた熱い想いを、否定されることなくぶつけられる場でもあるのです。本気でぶつかり合うからこそ、一生の付き合いとなる友人にもきっと出会えると思います。
 

Q3.好きな授業は?

ひとつ目はキャリア開発。グループに分かれて独自のプロジェクトを考え、細かい設定までチームワークの中で構築していきます。個人的にとても興味のある企画という分野で、自分の“好き”が最大限に発揮出来るところが楽しいです。私たちのグループは、親世代にあたる40~50代の方々をターゲットに、もう着られなくなったお気に入りの洋服や、箪笥に眠ったままの洋服を、新たにパターンを引き直して再生させる、というビジネスプランを提案しました。もうひとつは、西洋服装史。ほかの誰よりも洋服の歴史を愛している先生だからこそ、その膨大な知識から繰り出される話が本当に面白い!マニアックな知識も、教科書に載っている基本的な情報と上手く絡めながら教えてくれるので、ファッションの原点が楽しく理解できます。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

課題制作です。みんなが1着つくるなら自分は2着つくり、しかもそれを一番に提出しようと決めて頑張りました。最初につくったスカートは、友達をモデルに作品撮りもしました。シャツブラウスの課題では、規定に従ったものと、自由にデザインしたものを制作。どちらも凝ったつくりにしたかったので、規定に沿ったものには表からギャザーを寄せ、テグスのような糸で装飾しました。自由作品は敢えてメンズにして、つくり方は先生に教わりました。次の課題のスカートは、ネクタイを巻きつけたようなデザインに。まだ習っていないことに挑戦したかったので、ネクタイのつくり方を独学で学び、一から自分でつくり上げました。パッチワークのように生地を組み合わせて、ネクタイのデザインにも工夫を凝らしました。動きやすさを確保するために、自分で着用して何度も微調整を繰り返し、ようやく完成に至った力作です。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
時間のあるときには、大好きな絵を描いています。1年生の終わり頃には、原宿とか渋谷あたりでギャラリーを借りて、ライブペインティングやイラストの展示が出来たらいいなと思っています。あとは、可能な範囲で外で遊ぶようにしています。クラブで偶然、第一線で活躍しているスタイリストさんや有名なショップのオーナーさんなどと知り合い、そこからさらに人とのつながりを持つことができました。ただ、どんなに遅くまで遊んでも、次の日は必ず8:30に登校!学校に来るとスイッチが入るので、課題をしたり、わからないところは先生に聞いたりと、朝の時間を有効活用しています。
※取材内容は2022年3月時点のものです。
 

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