Q1.この科の特徴は?

日常使いのできる帽子から特別なシーンのためのヘッドドレスまで、いろいろなタイプの帽子づくりを通して、帽子に関する専門的な知識やノウハウが身に付けられる学科です。帽子の本体には、天然草、布帛(織物の生地)、革や毛皮などさまざまな素材が使われ、装飾品のバリエーションも豊富。自分の創造力次第でさまざまな素材に挑戦でき、パターンを引かずに直接素材を形にすることもできるのが帽子づくりの面白いところだと思います。文化の設備が充実していることは有名ですが、帽子の土台となる木型から特殊なミシンまで、帽子づくりに特化した設備もしっかりと整っています。上級生になると、普通のミシンとは違って、陶芸のように帽子本体をくるくると回しながらストローハット(麦わら帽子)を縫う、ブレードミシンも使用します。手先の微妙な力加減次第で作品の出来が変わってしまうのですが、うまくリズムに乗れたときの気分は爽快で、形も美しく仕上がります。個性的なクラスメイトの作風に刺激を受けながら、2年かけて自分流のスタイルをしっかりと確立できるのが、この科の魅力だと思います。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

高校時代、卒業後に就職するか進学するかで迷っていたとき、自分はもともと“ものづくり”が大好きだったことを思い出し、何かを新たに学んでみたいと思うようになりました。そこで文化のことを知って文化祭を見に行ったのですが、まるで異世界のような学校の様子にびっくり。それまでファッションとは縁遠い世界で生きてきただけにかえって興味が湧き、なんだかワクワクしている自分がいました。そして、「ここなら何か面白いことを経験できるかもしれない!」という期待が原動力になり、文化で勉強することを決めました。東京の中心地というロケーション柄、文化の近くには、美術館、商業施設、劇場など文化的な刺激が得られる場がたくさんあります。勉強しながら個性や感性が養える、最高の環境だと思います。
 

Q3.好きな授業は?

とにかく手を動かしてものをつくることが好きなので、実技で帽子をつくっているときが一番楽しいです。この2年間、私は自分の好きなように、自由なデザインに挑戦してきましたが、その過程で自分のスタイルはどんどん変化してきました。始めた当初は刺繍やスパンコールなど細かくキラキラした装飾をたくさん使っていたのですが、徐々にフォルムや全体のバランスなど造形を意識するように。今は素材に気持ちが向いていて、使う素材に対して無理のない加工やアプローチを考え、できるだけ人の手が加わっていることが悟られないような、自然な表現の作品を目指しています。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

学内コンテストや革のデザインコンテストなど、いろいろなコンテストに積極的に応募しました。コンテスト用の作品制作を学校の課題と並行して進めるのが大変でしたが、学内コンテストは作品制作にほとんど制限がなく、やりたいようにやれる面白さがありました。YKKファスニングアワードでは、ファスナーで4つに分割できる帽子をデザイン。シャッタースピードを落として撮影した写真にヒントを得て、街や人を切り裂くような光の筋をファスナーで表現しました。デザイン画が一次審査を通り、二次審査のために実物を制作しましたが、実用性をカバーするため、ファスナーのテープの縁から何ミリのところで縫うとスムーズに開閉できるかを検証し、素材によってミシンをかける幅を変えるなど、試行錯誤を繰り返しました。授業の課題も同時進行で制作しつつ、2カ月ほどかけて、コンテスト用の作品も完成。頑張った結果、審査員特別賞を受賞することができました!
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
課題やコンテストの作品づくりが生活の中心。多いときには4つの作品を同時進行することもありました。そこで、課題をするときは、自分のコンディションをベストの状態に持っていくことを心がけています。一番大切なのは、きちんと睡眠をとること。夜遅くなった時は、深追いせずに一度諦めて寝て、翌朝すっきりした頭になってから作業を再開するようにしています。同時に複数の作品をつくるコツは、ひとつだけに集中しないこと。悩んだときは一旦その作品は置いておき、あえて別の作品に取り組むことで、頭をリフレッシュさせることができます。そして、作業中には好きな音楽を聴きながら、とにかく前向きな気分で制作に取り組むようにしています。
※取材内容は2022年3月時点のものです。 ※2020年度から、帽子デザイン科 / ジュエリーデザイン科 / バッグデザイン科 / シューズデザイン科は再編され、2年制になっています。
 

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