Q1.この科の特徴は?

靴づくりは独学で習得するのが難しく、特殊な機械を使うこともあって、自力で一からつくることはほぼ不可能。しかし文化のシューズデザイン科には、工業用ミシン、靴本体に靴底を接着する圧着機、靴底を滑らかにする研磨機、ヒールを本体に釘留めする機械など本格的な設備が揃っているため、充実した環境のもとで靴づくりのノウハウを学ぶことができます。入学前は、「自分が履ける気に入ったデザインの靴」がなかなか見つからないのが悩みでしたが、授業で自分の足に合わせた靴型をつくってからは、好きなデザインの靴を自分サイズでつくって履けるのが嬉しくて仕方ありません!デザイン力を磨く一方で、靴業界についての知識を深める授業もあります。私はここで学んだおかげで、商品として通用するような、本格的な靴のデザインが考えられるようになりました。そして、少人数制で先生のサポートがとても手厚い点も、この科の魅力だと思います。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

文化に入学する前は短大に通っていたのですが、そのときはファッションを専門的に学んでいたわけではありませんでした。ところが、就職活動を通して将来やりたいことに向き合ったとき、自分が本当に好きなものはファッションだと気づき、卒業後の進路を服飾専門学校へとシフトしました。服も大好きだったけれどシューズの道に行こうと思ったのは、私の足のサイズが他の人に比べて小さく、靴を探すのに苦労していたから。自分で自分用の靴がつくれるようになりたいという気持ちが原動力になり、文化のシューズデザイン科に入学しました。尊敬するデザイナーが文化の卒業生だったこともあり、ファッションを学ぶなら文化で!と、もともと決めていました。
 

Q3.好きな授業は?

靴をつくる「シューズ」の授業。一年次の前半で基礎を習い、その後はオリジナルのデザインで制作します。カテゴリーや製法は課題として指定されているので、その範囲の中で自分の個性を反映させていく作業は、デザインの幅を広げる勉強にもなりました。二年次の最後には卒業制作として、二年間の学びを活かして制約なく自由に靴をつくります。靴づくりで特に大変なのは、縫い合わせたアッパーをラストと呼ばれる靴型に被せて釘を打ち、立体の靴の形に整えていく「釣り込み」という作業。シワなく綺麗な形に釣り込むために、時間をかけて根気よく靴に向き合わないといけない頑張りどころです。靴づくりにはたくさんの工程があり、中には地道な作業が続くときもありますが、その分完成したときの感動はひとしお!自分でつくった靴を自分で履けるというのは、やっぱり特別な達成感があります。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

自分らしいデザインを模索することに力を入れました。自分が何に対して魅力を感じるのかを知るために、イメージボードを作ったり美術館や展覧会に通ったり、それをもとになぜそれが良いと思ったのか分析したり。どのように足や身体を魅せたいのかを知るために、色々なブランドの靴を履いて自分の理想型を探したりと、自分のデザインや美学を深掘りする作業にたくさんの時間を使いました。なんとなくいいな、と感覚的に思っていたものを繰り返し考えることで、自分らしさを構成する要素を一つ一つ見つけることができました。
在学中、コンテストやコラボに参加する機会も多くありました。そうした時にテーマやニーズに添いつつ個性のあるデザインを考えるためにも、この時間はとても大切な時間だったと思います。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
課題作品を進めながらコンテスト応募用の作品も制作していた時期は特に、とても忙しい毎日を送っていました。心がけているのは、きっちりスケジュールを立てること。まずはこの日までにここまで終わらせる、とゴールを決めて、そこから逆算し、いつ何をすべきかを組み立てます。靴づくりは学校にしかない特殊な機械を使う工程が多いので、予定通りに終わらなかったときには昼休みや放課後を使うなどして、とにかく学校にいる間に作業を終わらせるようにしています。アルバイトは、オーダスーツの店で販売員をしています。革靴好きが高じて、革靴と相性の良いスーツに興味を持ったのがきっかけ。学校で学んだことは、接客の現場でも役立っています。注文したスーツに合う靴はどれか、お客さまに相談されたことも!パンツの素材や形によってどんな靴が合うか、どの靴を履いた時にはパンツをどれくらいの丈感にするのがベストかなど、学んだ知識を活かしてお話しできるのが本当に楽しいです。
※取材内容は2023年3月時点のものです。 ※2020年度から、帽子デザイン科 / ジュエリーデザイン科 / バッグデザイン科 / シューズデザイン科は再編され、2年制になっています。
 

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