Q1.この科の特徴は?

ジュエリー制作に必要な知識や技法を習得する科。1年次には地金(金属のこと)・樹脂・木、2年次には石など、段階を経てさまざまな素材に触れつつ、高度な技術を身につけていきます。服飾の歴史・美術史・色彩・手芸・解剖学など、ジュエリー制作以外の授業も充実しているのがポイント。これらの授業で学ぶ内容は、興味深いだけでなく、作品づくりのヒントになることも多々あります。そして、年齢、経歴、国籍を問わず多種多様な人たちが集まっているのもこの科の特徴。互いの個性を尊重するフラットな環境は、自分独自の世界観をふくらませながら、コツコツとものづくりをするのに最適です。先生方も優しく見守り、やりたいことにチャレンジさせてくれるので、いわゆる「典型的なジュエリー」ではない作品をつくってみたことも。この科で作品づくりをするうちに、私自身ジュエリーへの見方が大きく変わりました。これからも、既成概念にとらわれずに自分なりのものづくりを追求していきたいです。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

中学生の頃から大好きだった美術を深掘りしたくて、美大の芸術文化学科に通っていました。そこで絵の評論や展示の企画、油絵、絵の具の材料の研究などに打ち込んでいましたが、将来について考えるうちに、やはり自分の手を動かしてものづくりがしたい、ものづくりを一から勉強し直した上でそのスキルを仕事に生かしたい、と思うように。さまざまな専門学校をリサーチし、同級生が通っていたこと、好きなブランドのデザイナーにも文化出身者が多かったことから、文化が第一候補に挙がりました。そしてどの学科にしようかと考えたとき、ジュエリーならこれまで美大で学んできたことが活かせそうだと思い、文化のジュエリーデザイン科に入学することを決意しました。
 

Q3.好きな授業は?

一番好きなのは、2年次の「レンダリング」の授業。ジュエリーのデザイン画の描き方・技法を学びますが、単にデザイン画を描くのではなく、職人や制作に携わる人がひと目で形や仕様を認識できるように、わかりやすく表現しなければなりません。実寸大で描くのが原則。細かい絵を描くのが好きなので、この授業は毎回とても楽しいです。それから、身体の構造・仕組みを理解することで、服・小物・ジュエリーのあるべき形を学ぶ「服飾解剖学」の授業もお気に入り。肩の可動域の限界を知ることは、服の肩の部分をデザインする上で重要ですし、耳から肩までの長さを正しく把握すると、最も効果的なイヤリングの長さや見せ方を考えるのに役立ちます。デザイン性のみを重視したものづくりをするのではなく、実際に人が身につけたときのことを考えてデザインすることの大切さが学べて、とても有意義な授業でした。
他にも、石枠にクリスタルを埋めてジュエリーをつくる「メタルワーク(よせもの)」、実際に街に繰り出して店舗を調査する「ファッションマーケティング」、ひとつのものをじっくり観察して絵を描く「デッサン」など、好きな授業を挙げればキリがありません!
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

人よりも多く映画館や美術館、イベントに足を運ぶように心がけました。そうすることで、学外のファッション業界で活躍する方々とのコネクションもでき、将来にもつながると思います。あとは、本や文献をたくさん読みました。とにかく外部や第三者から刺激をたくさん受けることが、ものづくりをしていく上で一番大切だと思います。
就職活動の準備も頑張りました。課題でつくった作品は、就職活動の際ポートフォリオとして見せられるよう、デザインの着想源やラフスケッチをわかりやすくまとめています。また、好きな授業のひとつに挙げた「ファッションマーケティング」ではさまざまな角度から市場調査を行ないましたが、この授業を通して得た、今注目されているブランド、トレンドの傾向、売れ筋の価格帯、人気店のロケーションなどの生きた情報は、就職活動をする上でも大いに役立ちました。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
課題はそれなりにあるので、自己分析をして自分のキャパシティを知っておくことが大切だと思います。私は通学時間が長いこともあり、普段のアルバイトは控えめにしてその分長期休みに集中的に働くようにしました。課題を進める上で、バーナーのような学校にしかない設備を使用する工程は、学校にいる間に終わるよう工夫。学校でなくてもできる工程やレポートは、通学中や家で進めています。私は基本的に、休みの日は寝るか遊ぶで、できれば毎日遊んでいたいくらい(笑)。ただ、私が遊びと思っている美術館巡りや映画鑑賞も、他の人から見れば勉強しているように映っているかもしれません。実際、そこから作品づくりのインスピレーションを受けることも。一人時間が好きなので一人で出かけることが多いですが、たまに違う分野で頑張っている友人に会っておしゃべりすることが、よい気分転換になっています。
※取材内容は2023年3月時点のものです。 ※2020年度から、帽子デザイン科 / ジュエリーデザイン科 / バッグデザイン科 / シューズデザイン科は再編され、2年制になっています。
 

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