Q1.この科の特徴は?

手編みとコンピューターニットの両方を学び、さまざまな素材や編み方に触れながら、自分に合った表現を見つけることができます。パソコン上で編み方のデザインを制作したり、企業の生産工場で必要な指示書などを作成したりします。布地を使った服づくりとの違いは、糸自体も自分の好きなようにつくれ、それも表現のひとつとしてデザインに反映できるところ。学年が上がるごとに扱える素材がどんどん増えるため、課題の制作を通して実際にたくさんの素材に触れることで、自分はモヘアなどの柔らかな素材よりも、リネンや和紙のような硬めの素材の方が好きなのだと気づきました。それから糸自体にも一層こだわるようになり、糸を混ぜてオリジナルの糸をつくる面白さにハマってしまうのですが、それが自分の個性の確立につながったと思います。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

ソウルの大学で4年間ファッションを勉強していましたが、卒業後は働きたい会社が見つからず、学生時代からインターンをしていた企業に帽子の販売担当として就職。働くうちに帽子づくりも手がけたくなったのですが、帽子づくりの知識はなかったため、趣味の編み物でニット帽をつくるように。そこで編みながら形が作れるニットの奥深さに目覚め、ニットを本格的に学びたいと思うようになりました。ただ、韓国にはニットを専門的に学べる学校がないため、海外の学校にも視野を広げようと思い、ずっと親しみがあって言葉も勉強していた日本への留学を決意。文化にはニット科がある上に韓国でも有名なので安心できるし、就職先の社長が日本に留学して文化を卒業した人だったことも後押しになって、文化でニットを学ぶことに決めました。
 

Q3.好きな授業は?

数学的にパターンを作成するコンピューターニットは、手作業では表現できないものがつくれて面白くとても早く仕上がります。ですが、私は個人的に直接素材を手で触りながら完成させていく手編みの方が好きなので、手編みの技術を高める「ニットアパレル」の授業が楽しくて仕方ありません。鉤針編みでスカートをつくる、棒針でラグランをつくるなど、ある程度の条件はありますが、それさえ守っていれば、あとは何をにつくっても良いので、かなり自由度は高いと思います。私は、課題と思ってつくるのではなく、自分の作品という視点で好きなものをつくることを心がけました。先生も私の個性や考え方を尊重してくれたので、納得のいくものづくりができたと思います。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

学業を優先はしていましたが、コンテストや学外のプロジェクトも頑張りました。1年次には学内のファッションデザイン画展に応募し、なんと入賞することができました!2年次には複数の学外プロジェクトやコラボレーションに取り組みましたが、中でも印象に残っているのは、イタリアのトップニットメーカーが主催する「lolo piana knit game」。世界中のファッションスクールから7〜8校だけが選ばれる特別なプロジェクトなのですが、2021年度には文化がそのひとつに選ばれたようで、せっかくの機会だからと先生から声をかけてもらい、クラスメイトと一緒にチームを組んで参加しました。好きな素材を好きなように研究できるのですが、私たちは糸の藍染めに挑戦。コロナ禍でオンラインでの参加となりイタリアに行けなかったのは残念ですが、普段では扱えないような最上級の糸を触らせてもらって研究でき、素晴らしい経験になりました。一緒に取り組んだクラスメイトとは、渋谷ファッションウィークの作品募集に同じチームで応募するほど仲良くなりました。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
私は朝型の人間なので、朝が元気なタイプ。平日、週末に関わらず、いつも早起きしています。朝は課題以外の作業をすることが多く、課題は授業中や昼休み、放課後にできる限り学校で終わらせ、できなかった部分は帰宅してから夜にしています。平日は学業に専念したいので、アルバイトは週末限定で。前はコンビニや飲食店がメインでしたが、3年生になると友人の誘いで古着のニットを切り替えてアップサイクルさせるという仕事をしていました。時間があるときには、大好きな日本人アーティストのライブや美術館、映画などをエンジョイしています。余裕のあるときには、サイクリングに出かけることも。特に目的もなく、好きな道を好きなように走っていると、雑念から解放されてリフレッシュできます。
※取材内容は2023年3月時点のものです。
 

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