Q1.この科の特徴は?

テーラリング、メンズデザイン、メンズファッション史、ビンテージなど、メンズウェアに携わる上で欠かせない知識や技術が学べるコース。マニアックな知識をもつ先生による授業や特別講義を通して紳士服の本質に触れ、感性を磨くことができるのは、文化のこのコースだからこそ。課題では、1着の服に時間をかけ、多くの工程を踏んでこだわり抜けるという楽しさも!何より真の服好きと、深い話のできる環境が最高!先生の中には服の収集家もいて、博物館に展示されていてもおかしくないような貴重なアイテムを見せてもらえる機会もあり、毎回授業が楽しみで仕方ありません。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

私は韓国出身ですが小さい頃は日本に住んでいたので、元々日本のカルチャーには親しみがありました。特にファッションは、United ArrowsやBEAMSなどのディレクターの方々のスタイルに強い憧れがあり、韓国にはない彼らの感性に常に惹かれていました。韓国で兵役を終えて就職しましたが、仕事を続けるための情熱に欠けている自分に気づき、ずっと好きだったファッションの世界で働くことを決意。自分は日本人の解釈するメンズウェアが大好きだったので、日本で一からファッションを勉強しようと思い立ち、歴史があって卒業生が世界で活躍している文化を選びました。
 

Q3.好きな授業は?

2つあります。1つは「メンズファッション史」。現代の服、特にメンズ服には必ずその元となった原型があり、時代を経ても絶対に変わらない要素があります。そうした知識がなければ、今の時代に合わせてデザインを「崩す」ことはできません。この授業では、メンズ服の歴史やそれを取り巻く文化、哲学などを学び、先生が持っている普段では見られないような貴重な服に直接手で触れ、由来なども聞けるのでとても興味深いです。もう1つは「特別講義」です。日本のメンズファッションの原点と言われるVAN JACKETを立ち上げた石津 謙介氏のお孫さんで、そのレガシーを受け継ぐ石津 塁氏や日本のメンズファッションの歴史を共にした石辺 啓道氏など、普通なら会えないようなレジェンドたちが講師として来られたときには、興奮しました。石津先生からは「こんなにトラッドが好きな学生には会ったことがない」と言われ、自分の存在が認めてもらえたような気がしてとても嬉しい一言でした。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

在学中は、学費を払っている以上学業に集中しようと決めていたので、自分ができることよりもう一歩先を目指し、課題や作品づくりにすべてを捧げました。苦手なことからも逃げず、あえて手間のかかる工程に挑戦するなど、自分を追い込むこともしばしば。課題でスコットランド軍のアーミーパンツをつくったときは、「最高級の洋服にロックミシンは使わない」という自分の中のルールに従い、脇の縫い代をすべて手作業で仕上げました。さらに柄合わせを完璧にするために、少しでもずれると全部ほどいて一からやり直すなど何度も修正しました。その分完成したパンツには愛着があり、今でもよく穿いています。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
課題から一度逃げてしまうと、そのまま逃げ続けて結局やらなくなってしまうのではないかという不安があるので、とにかく1日に一つのタスクだけでも、必ず何かをするように心掛けてます。家に帰るとまずは課題を広げて手を動かし、週末の夜に友達と食事などに出掛けても、緊張感をなくさないように、必ず課題に向き合います。リフレッシュは、大好きな丸の内エリアを散歩すること。大好きなメンズ服のショップもたくさんあるし、服を見ているだけでも癒されます。素晴らしい建築物や皇居、東京駅のたたずまいも目の保養になり、老舗の美味しいご飯屋さんもたくさんあるので人に紹介していますが、「行ってみたら美味しかった!」と言われると、自分も嬉しくなります。
※取材内容は2023年3月時点のものです。
 

▼インタビュー動画もチェック!