Q1.この科の特徴は?

手縫いや刺繍の技術に加え、皮革や毛皮、レース、ベルベットなど高級かつ繊細な素材の扱い方を学び、オートクチュールという1点ものの服づくりを追求する学科。縫い代を割る(縫いやすいように縫い代を広げる処理のこと)のにも、革や毛皮の場合はアイロンを使わずに金槌で叩くなど、工作のような楽しさも味わえます。私は入学するまで刺繍はしたこともなかったのですが、課題で初めて手がけたことがきっかけで、刺繍の面白さに気づきました。少し立体感を出すだけで、光の当たり方や輝き方に違いが出ることを知り、舞台映えする衣装をつくる際にとても大切な要素になることを実感しました。そのほかにも、課題を通して扱いの難しい素材に何度も取り組むことで、自然と技術が磨かれました。グループ制作も多いため、グループ内で密に相談しながら課題を進めることで、コミュニケーション能力も向上!同じ目的意識を持った仲間と切磋琢磨しながら、作品も自分自身も高めることができました。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

小学生の頃から、ミュージカル好きな母に連れられて、よく舞台を見に行っていました。当時私はジャズバレエを習っていて、同じ教室に通う友達と一緒に練習着をつくったときに、服づくりの楽しさに目覚めました。そこから、将来はミュージカルの舞台衣装制作に携わりたいと思うようになり、中学生の頃には劇団四季の衣装をつくりたいという具体的な夢が生まれました。それからリサーチを重ねたところ、劇団四季の衣装担当には文化のオートクチュール専攻出身の方が多いということを知り、自分も同じところで学ぼうと思い文化に入学することを決めました。
 

Q3.好きな授業は?

高級素材を扱う「オートクチュール特論」。グループ単位で課題制作に取り組みます。まずは、自分が挑戦してみたい素材を選び、同じ素材を希望する人が集まってグループを結成。それからみんなで一緒に素材を買いに行き、デザイン、制作へと進みます。毎回先生の点検を受けながら、わからないところは質問し、協力してつくっていきます。私は、トワルの仮縫いの段階で、目指す形にならずに試行錯誤をしている時間がとても好きです。その後、実際の素材を使って仕上げるのですが、素材を触っているだけでもテンションが上がります!完成したら、ショー形式でみんなの前で発表。モデル、ヘアメイクを用意して、演出も考えながら、本格的なショーとして披露する瞬間は最高の気分です。私たちのグループは、初めはそれぞれのやりたいことが違いすぎて、ギスギスしていたときもありましたが、大変な工程をみんなで一緒に乗り越えたことで団結力が生まれ、最後にとても仲良くなれたことも、この専攻科で得た財産のひとつです。
 

Q4.学生生活で一番力を入れたことは?

就職を目指していた劇団四季でのインターン。学校の就職支援室でインターン募集があることを知り、迷わず応募しました。1ヶ月半の間に5日間のインターンシップで、初日は本社のアトリエを見学し、俳優さんのシューズ袋を作成。ちょうど公演が始まるタイミングで、舞台セットや道具が搬入されるところを見ることができました。その後は、『ライオンキング』や『オペラ座の怪人』の舞台裏で、公演の合間に衣装直しや洗濯のお手伝い。早着替えの様子を見学させてもらったり、コスチューム担当の方の仕事の進め方を間近で見て直接お話ができたりと、とても充実したひとときでした。劇場には、俳優、衣装、メイク、大道具、小道具などさまざまな役割を持った方がいます。時間に追われて大変なはずなのに、現場は本当に和気あいあいとしていて、皆さんが楽しそうに言葉を交わしている様子が印象的でした。ますますここで働きたいという思いが強くなり、求人サイトで募集があったのですぐに応募し、動画選考や面接を何度か受けて最終的に衣装担当として採用していただくことができました!面接時にインターンを経験してどうだったかなど聞かれたので応募してよかったです。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
服装科1〜2年生の間は平日にもアルバイトをしていましたが、オートクチュール専攻に進学してからは、想像以上に課題で忙しくなったため、アルバイトは長期休みに限定して、普段は学業に集中しています。家から学校まで2時間かかるため、レポートなどスマートフォンを使ってできる作業は通学中の電車内でこなしています。個人制作の課題に大好きなニットを取り入れたかったので、電車では編み物をすることも。学業以外では、衣装見たさに大好きな舞台公演を観にいき、いろいろとインプット。同じ作品を何度も観て、角度によって衣装の観え方がどう変わるのかも研究しています。時間に余裕のあるときは、仲の良い友達とドライブや岩盤浴を楽しんでいます。
※取材内容は2023年3月時点のものです。
 

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