Q1.この科の特徴は?

平面作図からパターンの組み立て方、素材のよって異なる縫製の方法や立体裁断まで、服づくりに関わるすべてを、3年をかけてじっくりと学ぶ夜間の学科。昼の時間は、仕事をしたり、図書館や自習室を活用して知識や想像力を養ったりするのに充てることができるので、とても効率的で合理的だと思います。月、火、水、金の週4日で授業があり、木曜日は自由実習日で授業はないですが、課題を進めていてわからないことが聞けるようになっているので、昼間に働いている人も、無理のないペースで勉強できる環境が魅力。クラスメイトは年齢もバラバラだし、ファッションにまったく関係のない仕事をしている人もいて、本当の意味で多様性に富んでいると思います。その分、個性もさまざまで、自分にはない感性でつくられた作品からは、いつも刺激を受けています。入学したての頃は知識も技術もゼロに等しかった僕が、今では好きな服がつくれるようになりました。
 

Q2.文化服装学院を選んだ理由は?

元々ファッションは大好きだったのですが、家族で経営している学生服の縫製工場を次世代に残すため、後継者になることを決意。そこで、服飾専門学校で縫製について本格的に勉強しようと思ったのですが、父方の叔母にあたる前工場長が卒業生だったことから、文化を選びました。昼間は工場で働き、早く経験を積みたかったので、働きながら夜に勉強できるII部を選択。入学前は工場でやっていたことが全く分からなかったのですが、授業を受けたことで理解できるようになり、将来的に新しいビジネスにつながることを夢見ているので、服づくりの勉強に没頭しています。
 

Q3.好きな授業は?

やっぱり、自分で考えたデザインでパターンを制作し実際に服を形にする「服装造形」が一番好き。3年次には、これまで頑張って身につけた知識と技術を駆使して、ずっとつくりたかったロングコートに挑戦しました。先生からは、脇と袖の縫い目、縫い代の位置がピッタリ合っているかどうかまで、しっかりチェックするようにと的確なアドバイスをいただいたこともあり、細部までこだわり抜きました。理想通りの形に仕上げることができ、自分でもよくやったと褒めてあげたい!この授業で服づくりのベースを身につけてからは、服の見方が変わりました。観察眼も磨かれ、今では縫製の細部を見て、その服のクオリティをジャッジできるようになりました。
 

Q4.思い出に残っていることは?

ある日、ふと「自分の体と同じサイズのトルソーをつくりたい」と思いたち、挑戦することにしました。トルソーのベースを買ってきて、自分の体型に合わせてそこに肉付けをしていくのがオーソドックスなやり方だと思うのですが、もっと精度の高いトルソーが欲しかったので、学校にいる体型研究を専門にしている先生に相談。その先生から「石膏包帯」というギプスなどで使用する手法でボディの型取りをしてみたらと提案をいただき、すぐさま実践しました。その結果、かなり自分の体型に近いトルソーが完成!そのおかげで、ずっと欲しかった、自分の体にピッタリ合うロングコートをつくることができました。授業や課題のアドバイスをくれるのはもちろん、それ以外の質問にも分け隔てなく答え、いつでも親身になってくれる先生の存在こそが文化の魅力なんだなと改めて実感した出来事でした。
 

Q5.1日を円グラフで表すと?

1日のスケジュール
月、火、水、金は、昼間に仕事をして夜は学校。授業のない木曜の夜や週末は基本的に課題に充てています。クラスメイトはみんな仲良しですが、特に気の合う友達とは、授業が終わった後に食事に行ったり、自分の工場のスペースを使って一緒に課題をしたりすることも。最近、タフティングガンというカーペットをつくる機械を買いました。専用の織りの粗い布を枠に貼り付け、プロジェクターで投影した絵柄に沿って、このタフティングガンで毛糸を打ち込むのですが、これが楽しくて、今は自分の好きなデザインのカーペットをつくるのにハマっています。最初につくったカーペットは、仲の良い友達にプレゼントしました。
※取材内容は2023年3月時点のものです。
 

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