文化服装学院×SHIBUYA109
学生の夢をαUメタバースで拡大
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、KDDIと文化服装学院と共同でメタバースファッションアイテムの制作・販売を実施を3月に発表しています。この取り組みは、今年2月に文化服装学院と共同で実施したアップサイクルファッションの展示作品の一部を、KDDIが提供するメタバース「αU metaverse」でメタバースファッションアイテムとして販売するものです。
さらにSHIBUYA109渋谷店でアップサイクルファッションを再展示し、リアル店舗とメタバース間の相互送客を図ることも計画されました。販売されるメタバースファッションアイテムの売上の一部は、渋谷区に寄付され、SDGsに関わる取り組みに活用される予定です。
また「The Sandbox」と提携し、メタバース上に渋谷の街を再現した「SHIBUYA109 LAND」の開設を準備しています。クリエイターやアーティストがWeb3分野で活躍できる機会を提供し、その活動支援を強化しようというSHIBUYA109エンタテイメントにその背景をお聞きしてきました。(文中の質問はMUGENLABO Magazine編集部。回答者の敬称は略させていただきました)
学生たちの夢をメタバースで拡大
今回、KDDI様からαU metaverseで、SHIBUYA109とコラボしましょうという相談をいただきました。私たちも新しいアイテムの販売やイベントの企画を検討する中で、文化服装学院様とアップサイクルファッションの実施経験があり、その取り組みをメタバースに持っていくことを提案しました。結果として学生さんの夢のような取り組みをメタバースでさらに展開していただく、そんなコラボが実現しました。
こう語ってくれたのはプロジェクトを担当されたソリューション事業部 企画戦略部の佐藤雅紀さんです。 SHIBUYA109エンタテイメントでは企業理念として「Making You SHINE!-新しい世代の“今”を輝かせ、夢や願いを叶える-」を掲げており、新世代の夢や願いを叶えることを目指されています。
若い世代のクリエイターとして活躍する方々が、自分自身を発信する機会を多く持てるようにしたい。今回の取り組みはその一環として、リアル施設からメタバースへと展開していく新しい試みとなりました。佐藤さんは今回のコラボの内幕を次のように語ってくれました。
改めて今回の取り組みで目指していることを教えてください
佐藤:今回の取り組みを通じて若者やクリエイターが活躍できる場を提供することが目的ですね。当社は開発したアイテムを販売することもありますが、今回はリアルでの衣装展示と同時に、同じアイテムをメタバース上で展示・販売する形式を取りました。
若い世代の方々にとって、メタバースやNFTなどの言葉がまだ身近ではない方も多くいらっしゃると思います。そのため、今回はリアルとメタバースを連携させた実証実験を行い、どの程度誘客できるのか、そしてどの程度興味を持っていただけるのかを検証することも目的の一つでした。
当社では、若者の夢や願いを叶えることを企業理念の一つとして掲げ、その中でクリエイター支援の取り組みをいくつか実施しています。そのひとつが最近、SHIBUYA109渋谷店の8階にInstagramなどを運営するMetaの日本法人であるFacebook Japan様との取り組みでオープンしたクリエイターコラボレーションスペースです。そこでは、クリエイターが集まってイベントやワークショップを開催できるようなスペースになっています。
今回の取り組みの特徴はやはりメタバースですよね。どういった特徴がありますか?
佐藤:Web3に取り組む会社が多く存在する中で、リアルとメタバースを組み合わせた施策を進めることが、当社の強みだと思っています。先ほどのクリエイターコラボレーションスペースや、館内の一定の場所、掲示可能な広告スペースなどを活用して、当社のリアル店舗の強みを活かしながら、クリエイターが自身を発信できるような機会をどんどん作っていきたいと考えています。
また、αUmetaverseをはじめその他のメタバースにもビジネスチャンスがあれば参入し、リアルとメタバースを活用しながら広げていくことも考えています。当社が既に参入しているThe Sandboxでは渋谷の街をメタバース上に再現する開発を進めているのですが、The Sandboxはゲーミング要素が強く、現状は海外のユーザーが中心のため、リアルの渋谷とは異なるターゲットが存在するかもしれません。このように、リアルとメタバースの両方の視点を持って取り組んでいます。
難しさもあると思いますがどのような点がありましたか
佐藤:メタバースに参入する企業も多く、確かにイベント期間中は多くの人が集まることが多いですが、やはり日常的に人が集まる状況を作ることが重要だと思っています。当社も、渋谷の街を再現するThe Sandboxのメタバースにおいても、現状はまだローンチされていないものの、今後リアルと連動しながら定期的にイベントやコンテンツが循環することで、人々が集まれる世界観を作れるよう工夫していきたいと考えています。
また、NFTやメタバースについてはまだ一般的ではないので、若い人に向けて、いくつかの取り組みを行っています。例えば、昨年10月には、Web3 GirlsというWeb3業界の女性を支援する団体と連携してSHIBUYA109渋谷店館内で3日間のイベントを開催し、Web3に関わる女性をテーマにしたトークショーやグッズ販売などを行いました。このような取り組みを通じて、Web3を身近に感じてもらえるように努めています。
今後の展開について教えてください
佐藤:当社にはリアルな場所がありますが、独自のIPを持っていないことが弱みのひとつになるかもしれません。例えばキャラクターコンテンツやアイドルなど、当社がIPとして活用できるようなものがないということです。そういったところをクリエイターと一緒になって開発を行い、当社のリアル施設や広告スペースなどを使ってプロモーションする。さらにメタバースを活用してクリエイターと一緒に共創していくことができたらよいですね。
また、メタバースやNFTを活用したサービスにおいても、クリエイター以外の、応援したいと思うファンのみなさんも一緒になってコミュニティを盛り上げていくことが重要です。そのためには、SNSやメタバース上での体験など、様々な仕掛けが必要だと思います。αU metaverseをはじめ、一緒に協力していただけると嬉しいです。
最後に、こういう領域の企業と組みたいなど今後のコラボレーションの展望についても教えてください
佐藤:例えばスタートアップ企業ですね。前例のない新しいソリューションやWeb3に特化したサービスなど、新しい世界の中でより活用できる、ユーザーにとって使いやすいと思われるサービスの開発には、やはりスタートアップ企業に強みがあると思っています。
大企業では思い浮かばないような、スタートアップならではの発想やサービスの開発力を活かしながら、一緒に進めていきたいです。また、SHIBUYA109の施設を使ったイベントだけではなく、渋谷全体を使って、当社だけではなく、様々な事業者との横軸連携もぜひ考えていきたいですね。
それと、NFTなどの業界においては、一般にユーザビリティの部分のハードルが非常に高いと感じています。例えば最初にウォレットを作るだけでも経験のない方にとってはハードルが高いところを、もっとユーザーフレンドリーにハードルを下げるような技術やアイデアなどが求められると思います。そういったところと連携して、一緒に何か発信ができればと思います。
それと当社は強力なIPを持っていないので、そこに強い会社とコラボして何かを発信していくことも大切だと思っています。発信力については私たちの強みなので、そういったニーズがあれば一緒にコラボしていければと考えています。
Tweet