SOMA DESIGN デザイナー:廣川玉枝氏  グラフィックデザイナー:福井武氏
によるデザインワークショップリポート 第2弾
「PEPAMOプロジェクト」
文化服装学院卒業生で東京コレクションをはじめ、多岐にわたるデザインクリエーションを展開しているSOMARTAデザイナーの廣川玉枝さん。高度専門士科3年生に対して、廣川さんが所属するSOMA DESIGNによるワークショップ形式の特別講義が4月より行われています。
●ワークショップの目的や最終作品製作に至るまでの授業の様子はこちら
http://bunka-fc.ac.jp/news/2009/07/soma_design.html
7月10日(金)にSOMA DESIGN指導によるデザインワークショップ完成作品を外部の有識者の方を招いて、プレゼンテーションを行いました。それぞれのチームがコンセプトに基づいて、普段扱っている布とは違う紙という素材をもとにデザイン、製作までを行い完成させた作品を創意工夫しながら発表。有識者の方からはクリエーションに対する意見や感想、展示方法に対するアドバイスなどを頂きました。外部の方を招いてプレゼンテーションすることで学生達は、製作過程とは異なり完成させた作品を第3者に的確に伝える難しさと大切さを経験することが出来ました。プロジェクトの最後は作品をより多くの方に見てもらうために文化服装学院総合校舎にて展示を行いました。
展示終了後は授業の流れの中の“クライアントから、仕事を依頼されたら・・・”と言ったポイントとなる目的に基づき、各チームにて既に製作しているコンセプトマップ、作品の撮影データ等を持ち込み、学内のイベント時など広告として利用してくれる様、学生達がアクションを起こします。これは、製作したものをアピールしつつも、今度はクライアント側の立場に立ち、作品が各部署のどの様なアピールにつながるかの条件を聞き入れ、クライアント側の媒体として立て直す、言わば社会で言う営業をして、仕事をもらってくる・・・と言った、シミュレーション訓練を予定しています。今後の高度専門士科3年の学生の営業活動の良し悪しによっては、本学院の各部署に新たな形(宣伝マヌカン、広告ポスター等、部署紹介マヌカン)にて配属された新生PEPAMO達が登場するかもしれません!高専3年PEPAMOプロジェクト、学園ジャック出来るか???
○公開プレゼンテーション
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○文化服装学院 総合校舎での展示
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●SOMA DESIGN 参加学生に対しての総評 
廣川玉枝先生
今回のプロジェクトでは、「物の価値」について自らの基準で判断が出来るようになってほしいと思いました。最終的には、学生の皆はとても個性的な作品を打ち出し、プレゼンテーションは初期の段階と最終プレゼンの時では比べ物にならないくらい向上していると感じました。思案と試作を繰り返す事によって作品に対する思い入れや完成度が向上し、最後の展示まで気を抜く事なく出来たと思います。また、「チームとしてのものづくり」における過程で、自分の世界だけでは完結出来ない様々なストレスを感じたのではないかと思います。それらを検証して、自分に足りないと思う部分は今後の課題として活かしてください。
福井武先生
1つのもの(この場合はチームで1つの完成品)を作り上げる過程の中では、2つの重要な段階があります。まずは、皆それぞれ出し合ったアイデアからどのアイデアが自分を含めたチームを「その気」にさせたのか。次に、チーム全員が代表作に対して情熱を掛けて作品に仕上げていけたか、ということです。それらを1つのブランドにたとえるのなら、コレクションを作り上げる過程と似ています。1つの世界観を作り上げるためには、コレクションの代表デザイナー、上司や同僚の「関係」や「志」、「目標」に通じるものだからです。今回は、1つの世界観を作り上げる総合クリエーションの要素もあったので大変だったかとは思いますが、それが作品をより強いものにできたのではないでしょうか。
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●参加学生(8チーム紹介)
※写真はそれぞれのチームで撮影した作品写真<画像クリックで拡大>
○Aチーム

・ブランド名  女寺 ~samurai~
・参加学性
 栃久保龍之介/中川原成
・コンセプト
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・感想
今回紙という素材を使用して服を作っていき、当然のように、布による服作りのように簡単には行きませんでした。何度も試行錯誤を重ね苦労しましたが、このプロジェクトのおかげで新たな視点での構築の仕方に気付きました。素材を生かしたデザイン発想に対して成長できたように思います。
○Bチーム

・ブランド名 LUNCH TIME
・参加学生
小島理佐/斎藤紗織/塘田そのみ/橋川めぐみ/増田郁佳/水谷緑
・コンセプト
朝、学校のロビーを通ったとき、今日もがんばろう。帰りロビーを通ったときには今日もお疲れ様のように癒しの空間を作りたい、優しい雰囲気のものを展示したいと思い、私たちのテーマを優しさにしました。
・感想
疲れた表情でエレベーターから出てきた人達から「かわいい!」という楽しそうな声が聞こえてきて、みんなの表情が優しそうな笑顔に変わりました。そんな姿を見て、ずっとテーマにしてきた優しさを形にできたということが実感でき、とてもやりがいのある活動だったと心から思いました。
○Cチーム

・ブランド名 隠れる
・参加学生
小沼傑/小菅 ジャグリーン 裕子 チャダ/佐藤文重/千田雄人/葉山明日香
・コンセプト・感想
紙には表面を被うことによって中身を「隠す」効果があります。その効果に注目し、私達は人が「隠れる」服を発想しました。
今回の作品は迷彩などの、背景に馴染んで身を隠すものをイメージしました。
人型のシルエットを1枚1枚切り絵のようにカットし、それを繋げることによって都市の群集のような人の動きを表現しています。
実際の作品は、街の背景に紛れて人が「隠れる」というイメージをうまく表現できた服になったと思います。
○Dチーム

・ブランド名 Crayon
・参加学生
塩谷智世/関塚かおり/田中千佳/朴晨蕙/渡辺永梨
・コンセプト・感想
「紙」というものについて私達が注目したのは、折り目やしわが付き、跡が残るということです。このことから自分の過去や思い出を綴って残していく日記を連想しました。
自分に起こった出来事やそのときの気持ちを書き残し、それを何年・何十年経った後に開いて読んだときの、懐かしいようなくすぐったいような温かい感覚を紙を使って表現しました。
見ていただいた人にもそんな気持ちになってもらえたらと思います。
○Eチーム

・ブランド名 POP-UP
・参加学生
青栁淳己/香取尚樹/小池勇太/多田有理亜/中村真琴
・コンセプト・感想
紙という素材を扱うにあたり、「折り曲げる」という表現を活かした作品にしようと考えました。その表現を効果的に形にする手段としてイメージソースにしたのがポップアップアートです。
最も力を入れて作ったのがスカートです。紙は折りたたむと重さが増してしまうので、素材を変えたり形を変えたりと試行錯誤を繰り返しました。全て折りたたむことができます。
○Fチーム

・ブランド名 Tziganie
・参加学生
菰田明日美/白井菜摘/竹之内千佳/原島大輔/本庄孝好/與那城光里
・コンセプト
「紙舞踏会」…舞踏会での代表的な音楽に合わせたデザイン
・ポロネーズ…ゆったりと曲が流れる雰囲気をふんわりとしたティアードで表現
・カドリーユ…楽しく軽快に踊る様子を大小様々なバラで表現
・ウィンナワルツ…独特の3拍子を肩紐の流れで表現
・感想
初めに作った1/2と実物では、ボディの凹凸が違っていたので土台を合わせるのに苦労した。仮縫いではなかなか思うようなシルエットが出せず素材選びに時間がかかったが、最終的にティッシュで作ることになった。
扱いは難しかったが思い通りの作品に仕上げることができた。
○Gチーム

・ブランド名
Homme
・参加学生
相澤真央/小野寺静/熊谷歩美/中田早紀/原田千佳代/馬場美帆
・コンセプト
情報をまとう現代人
情報の価値というものは儚いもので、1秒後には新しい情報が生まれ古い情報は価値を失っていく。古いものはどんどん切り捨て、忘れ去られてゆくだけのものかもしれない。しかし、私達は情報を生まれ変わらせる。新聞をテキスタイルとして使用し、新たな価値を持たせるのだ。
○Hチーム

・ブランド名
オシャレ(SYR)ロボ5
・参加学生
手嶋幸弘/堤本早也香/長谷部雄三/矢倉誠/渡邉里花
・チーム紹介
私達5名はオシャレンジャーとして日々戦っております。カラーはレッド・ブルー・イエロー・グリーン・ピンクの5色で構成されており、それぞれの役割も決まっているのであります。
ぽっちゃりレッド…サラリーマンを助ける/マッスルブルー…海を愛し海を守る/ガリガリイエロー…交通の問題を解決する/子好きピンク…子供たちの味方/熟女好きグリーン…食と熟女を守る
そして5人の能力が合わさってこのオシャレロボ5が完成致しました。
この暗く少し寂しい世の中、私達5人とオシャレロボ5さえいれば大丈夫なのであります。
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プロフィール
SOMA DESIGN 公式サイト
http://somadesign.jp/
SOMA DESIGN
SOMARTAデザイナー
廣川玉枝
1998年文化服装学院アパレルデザイン科卒業。株式会社イッセイミヤケを経て
2006年3月、ファッション・グラフィックデザイン・サウンドクリエイトビジュアルディレクションを業務形態とする「SOMA DESIGN」として活動開始。同時にデザインプロジェクト「SOMARTA」を立ち上げる。同年8月、「身体における衣服の可能性」をコンセプトに”Skin Series”というボディウェアを発表。同年9月、2007年S/Sより東京コレクションに参加。第25回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。2008年 Milano Salone 2008 Canon [NEOREAL]展にアーティストとしてインスターレーション及び新作家具を発表。同年DESIGNTIDE TOKYO 2008にて「TOYOTA iQ×SOMARTA-MICROCOSMOS」展においてコンセプトカーを含むインスタレーションを発表。
SOMA DESIGN
ビジュアルクリエイター
福井武
武蔵野美術大学卒業後、株式会社イッセイミヤケを経て「SOMA DESIGN」として活動を開始。SOMARTAのアートディレクション及びグラフィックデザインや、プロダクトデザイン、空間演出を含むビジュアルクリエイションを行う。Milano Salone 2008 Canon [NEOREAL]展や、同年DESIGNTIDE TOKYO 2008 「TOYATA iQ×SOMARTA-MICROCOSMOS」展の空間構成、TOYOTA iQ MUSEUM Bookのアートディレクションを行う。また、Onitsuka Tiger 2009S/S 及び2009A/W Zodiacシリーズのメインビジュアルとプロダクトグラフィックワーク、ユニクロUT Desigers Invitation Projectのコラボレーションに参加するなど活動は多岐にわたる。
○関連サイト
文化服装学院公式サイト
先輩の仕事、先輩の声 廣川玉枝さん掲載ページ
http://bunka-fc.ac.jp/feature002/index.html

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