文化服装学院主催「高校生ファッションデザイン画コンテスト2023」の審査会が先日行われ、厳正な審査の結果、各賞の受賞者が決定しました。審査員を務めたのは、小篠ゆま先生(ファッションデザイナー)、青木規子先生(繊研新聞社記者)、木村晶彦先生(ファッションデザイナー)、児島幹規先生(『装苑』編集長)、そして、相原幸子文化服装学院 学院長。昨年以上に応募者の表現力がレベルアップしており、見応えのある作品の数々に審査は白熱!各賞の選出には大変な時間を要しました。

 応募総数 844点の中から見事デザイン画大賞に選ばれたのは、芦野 夏月さん(北海道・市立札幌平岸高等学校3年)の作品。加えて、優秀賞2作品と、審査員賞4作品が選出されました。
 また、今回から新設された優秀団体賞を受賞したのは、39作品をご応募いただいた青森県立弘前実業高等学校。38名全員の技術力の高さが受賞の決め手に。

 受賞作品は、11月2日(木) ~ 4日(土)の文化祭にて展示されます。展示会場では、来場者の投票によって「来場者賞」を選出予定。全国の高校生によるファッションデザイン画の数々をご覧になると同時に、ぜひ審査員としてご参加ください!

※受賞者の皆さまには後日、表彰式・副賞のご案内、賞状等のお受け取りなどに関するご案内をお送りいたします。

デザイン画大賞

芦野 夏月さん
北海道・市立札幌平岸高等学校3年


憧れの人「手塚 迪(高校の先輩)」
作品説明「憧れのあの人に“着せたい”服というテーマを、憧れの人を作品の中で独占できるという意味として捉えました。それなら、(おこがましいけど)その人に同じ服を着せたい。ペアルックとかの生ぬるいものではなく、コネクト、フュージョンでもなく。先輩、私と作品になってください……そうですね、一体化したい!」 *手塚 迪さんは、昨年の高校生ファッションデザイン画コンテストで佳作を受賞されています。

選評「通常、1体分のデザイン画を描く方が多い中、2体での表現に挑戦された意欲的な作品として目をひきます。全体的な構図、ダイナミックなボディバランスのめりはり、淡い色合いのタッチなど高校生とは思えない表現力を感じました。服のデザイン力も突出しており、デザイン画大賞といたしました」

優秀賞

粟野 優樹さん
埼玉県立越谷総合技術高等学校3年

憧れの人「草間彌生(前衛彫刻家、画家、小説家)」
作品説明「草間彌生さんといえば水玉のイメージ。目玉や水玉といったモチーフを多用し、独特な世界観を表現しました」

選評「一目見ただけで、草間彌生さんをテーマにしていることが伝わってくるアピール力のある作品。草間さんを好きというだけでなく、若者らしいデザインに落とし込まれていること、デザイン画としてのバランスにもセンスを感じました」

新庄 希夏さん
京都市立美術工芸高等学校2年


憧れの人「カン・ヘリン(New Jeans)」
作品説明「カン・ヘリンちゃんは、私と同い年で、世界で活躍しているアイドルです。海の中でゆらゆら揺れている生物たちを集め、独特な雰囲気に。夏が似合うヘリンちゃんにマッチする衣装をデザインしました」

選評「ポップさとファンタジーがゆらめく不思議な世界観。絵のスキルも高く、“感覚”を表現できているように思います。実際に作れるかどうかは別にして、イラストとしてもとても魅力的です」

審査員賞

菅野 愛奈さん
山形県・惺山高等学校2年

憧れの人「詩羽(水曜日のカンパネラ)」
作品説明「制限された世の中で、どれだけ自分というものを表現できるか。クロとシロという色しか使えないという条件が課せられた時、個性の塊である詩羽さんなら自分をどう表現するだろうか。そう考えて描いた作品です。ダリの作品にインスピレーションを得ています」

小篠ゆま先生 選評「線と点、タッチだけで表現されたさまざまなモチーフが破綻することなく、また身体性から離れることなくアシンメトリーの美しさが表現できています。丁寧にちゃんと作品に取り組んでいることが見られ、ものを作るときの考え方の起点をわかっているなと。これをもって将来へ進んでいって欲しいという期待を込めて選出しました」

安藤 愛華さん
愛知県・山本学園情報文化専門学校高等課程2年

憧れの人「学校の先生」
作品説明「この作品は、憧れの大好きな先生に着てもらいたい一着です。その先生は黒ばかり着ていたので、黒以外の色で先生の明るさを表わし、パンツには先生が大好きな花をあしらいました。またディテールの描き込みを控え、抑制をきかせたデザインに仕上げました」

青木規子先生 選評「このデザイン画は男性なのか女性なのか分からないけれど、やさしさと強さの間の微妙なゆらぎがあって、独特の世界観を作っています。服になったときもきっとかわいいでしょうし、作者の“憧れの人”は知らない人だけどすごく似合うんだろうなって思わせる、その説得力がすごく光っていました」

川口 美佳さん
熊本県立熊本北高等学校3年


憧れの人「あさぎーにょ(クリエイティブアーティスト、YouTuber)」
作品説明「ボディにフィットするレザーに、シースルー素材を何種類も重ねてボリュームを出すことで緩急をつけ、より立体的なデザインに仕上げた。また、シースルー素材はすべて、他の作品から出た切れ端を使用することを想定。ファッション業界の抱えるゴミ問題に向き合いたいという私の思いを込めている」

木村晶彦先生 選評「どことなくクラシックなフィット&フレアーのシルエットを、軽やかな色使いとやわらかな雰囲気で仕上げていて、実際に作ってみても美しい服になると想像できます。リアルにつくれるデザインに徹している点に好感が持て、素敵だなと思いました」

中村 綾花さん
北海道江別高等学校3年


憧れの人「未来の私」
作品説明「私は『憧れは超えることができない』と考えます。ですが、自分自身を憧れの対象とすることで常に『新しい私』に出会えると思い、このようなデザインにしました。異なる図形(〇・△・□)は常に進化していく様子を、そして赤・青・緑はこれからも大事にしていきたい『情熱』『信頼・仲間』、黒は過去、白・黄はこれから先に広がっていく未来を表現しました。カラフルに描いているのは『苦悩』です」

児島幹規先生 選評「作品自体は70年代の雰囲気。ただそれだけでなく、アシンメトリーなバランスや腕が描かれていないといった表現の中に、いろんな葛藤や自分はこうなりたいという思いが込められているだろうと、テーマと作品解説を読む前に伝わってきました。人に伝わる絵だということが選出理由です」

佳作

朝倉 原樹さん
千葉県立流山南高等学校2年
石丸 鴻さん
東京都立武蔵丘高等学校3年
大橋 星渚さん
東京都立農業高等学校3年
鎌田 侑花さん
青森県立弘前実業高等学校2年

佐々木 美聡さん
青森県立弘前実業高等学校2年
高谷 怜良さん
青森県立弘前実業高等学校2年
田村 海詩さん
北海道札幌東陵高等学校3年
原 愛海さん
神奈川県立相模原弥栄高等学校3年
古山 夢希さん
東京都・江東服飾高等専修学校3年
堀江 優花さん
千葉県・習志野市立習志野高等学校3年
光森 弥央さん
神奈川県立上矢部高等学校2年
村澤 実桜さん
栃木県立宇都宮白楊高等学校3年
田澤 倫子さん
青森県立弘前実業高等学校2年
立野 愛子さん
熊本県立熊本農業高等学校3年
坂東 愛菜さん
千葉県立流山おおたかの森高等学校3年
深川 満那さん
富山県立富山北部高等学校3年
松田 鈴さん
クラーク記念国際高等学校2年
松原 さ和さん
福岡県立太宰府高等学校2年
山口 アスカさん
石川県立工業高等学校3年
吉永 花凛さん
大阪府立港南造形高等学校1年

※佳作受賞作品の「憧れの人・作品説明」は、こちらからご覧ください。※受賞者名は、あいうえお順です。

優秀団体賞

青森県立弘前実業高等学校(応募者数38名、作品数39点)

選評「全体的に技術力が高く、さらに個々の作品に生徒それぞれの思いが表現されていたことを評価いたしました」。尚、同校4名は佳作とのダブル受賞となります。

※優秀団体賞 全作品は、こちらからご覧ください。

高校生ファッションデザイン画コンテスト
開催概要は➡こちら

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