‟世界が認める技術力をベースに
国際競争に打ち勝つ力と感性、
ファッションによって社会に貢献できる
人材を育むことが使命です”

学院長 相原 幸子

文化服装学院の卒業生たちは、卒業から何年たっても母校を訪れ、現在の仕事の相談や在学時の思い出話をしてくれます。そのような学生と本学院との関係性は、家族にも等しい一生のつき合いであり、30万人以上に及ぶ卒業生同士もまた深いつながりを持ちながらファッション産業に従事しています。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にもかかわらず入学者数が急増したのは、こんなときだからこそ好きな道を共有できる仲間との出会いを求めているからではないでしょうか。

本学院の学びの特徴を話すとき、真っ先に思い浮かべる言葉があります。

「はさみと文化の技術さえあれば、世界中どこでも通用する」

これは卒業生であり、今もってファッション界を牽引するコシノジュンコさんがおっしゃってくださった言葉です。私たちが長い間取り組んできた基礎教育が、世界で認められていることをお分かりいただけると思います。もちろん、その基礎を応用するための豊富な産学協同プロジェクト、学生が主体となって運営する各種イベント、ワールドワイドなコンテスト参加へのサポートなども充実させています。これは学びで得られる「知識」に経験が加わると「見識」となり、そこに判断力や実行力が伴うことで「胆識」になるという「三識」 にも符号するものです。困難に直面しても、それを乗り越えてゆくための地力をつけることを、約300人の専任教員、および非常勤講師をはじめ、ファッション業界で活躍する一流のプロたちからの直接指導により目指しています。

その上でインターネットを活用し、流通・販売・広報などを行うICT 技術への対応も欠かせません。 SNS や動画といったデジタルメディアを活用する産業界の変化に合わせて開設した「ファッションプロモーションコース」からは、すでに卒業生が巣立ち、活躍の兆しを見せてます。また、2024年度からは「バーチャルファッションコース」を新設いたします。企業においてパターンは手引きからCADへ、さらに3Dソフトを駆使したものづくりに置き変わりつつあります。学生にはそのスキルを身につけ、即戦力として社会に羽ばたいていってほしいと思います。学科編成やカリキュラムを柔軟に対応するといった意味では、現在世界に遍在する環境・差別・貧困・人権問題といった課題を解決していこうというSDGsについても、自分なりの行動指針を立てられるような実学を重視していることも付け加えさせていただきます。

本学院は世界でも有数の充実した設備を擁する文化学園に属しています。専門書を中心に約33万冊を収蔵する図書館、衣服の歴史を間近に体感できる博物館、大規模ファッションショーを開催できる大ホールなどの共有施設が新宿エリアの広い敷地内に設置されています。さらに3D CAD、縫製・ニット生産に関わる最新機器も投入し、実践的かつ即戦力となる技能を身につけられる環境を整えることに力を注いでいます。

本学院での充実した日々の学び・学生生活は、その後の人生を支える力になってくれるはずです。そして、2023年に創立100周年を迎えた文化服装学院の次の100年を共に作り上げていきましょう。